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徹底的に郊外にこだわった「しまむら」がネットと東京に進出する事情

百貨店進出だってありうるぞ

ネット通販への参入や、都心型店舗の検討など「しまむら」の動きが活発になっている。郊外型店舗を軸に展開するしまむらは、同じカジュアルファッションでもユニクロとは明確に棲み分けてきた。

ユニクロは、事実上、国内市場を「捨てた」状況にあり、海外に活路を見いだそうとしている。一方、しまむらがターゲットにしているのはあくまで国内である。ネット通販への参入は、都市部の顧客を獲得するための施策と考えられるが、郊外型店舗を中心とした基本戦略は変わらない可能性が高い。

 

一体なぜだ!

衣料品大手「しまむら」のネット通販参入が明らかとなった。開始時期は未定だが、アマゾンや楽天などと具体的な交渉を進めているという。

同社はこれまで、ネット通販に対して慎重な姿勢を取り続けてきた。ネット通販市場がここまで拡大してからの参入ではタイミングが遅すぎるとの指摘もある。この分野は先行者メリットが大きいので、同社がネット通販の分野で大きなポジションを占めるのは、確かに容易なことではないだろう。

しかしながら、従来事業の補完という形にフォーカスするのであれば、同社のネット通販への進出はそれなりに効果があると筆者は考えている。

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しまむらは、郊外を中心に出店を行うという基本戦略を実直に続けてきた企業である。2017年2月時点におけるしまむらの店舗数は2013店舗だったが、このうち東京都内にあるのは76店舗しかない。しかも、都内といっても、あきるの市や足立区など典型的な郊外となっており、いわゆる都心の繁華街にはほとんど出店していない。

売上高ベースでも東京都は全体の4.7%程度しかなく、北海道(5.1%)を下回り、愛知(4.6%)と同レベルである。ユニクロも全国にまんべんなく出店しているが、東京への依存度は高い。

全790店舗のうち96店舗が東京都内にあり、売上高ベースでは全体の17%を占めている。ユニクロはイメージ通り、都会のお店ということになる(ユニクロの数字は2017年8月時点)。

郊外型店舗は地味ではあるが、ひとたび顧客を獲得すると、継続して来店が見込めるので経営効率がよい。

ユニクロの国内店舗における単位面積あたりの売上高はしまむらの3倍以上もあるが、従業員1人あたりの売上高はしまむらの方が多い(両社資料から筆者推定)。

都市型店舗は賃料も高く、多くの店員を配置することで、積極的に商品を売り込む必要がある。一方、郊外型店舗は、顧客が自然に買ってくれるのを待つスタイルなので、都市型店舗ほど手間はかからない。

しまむらは、郊外型店舗の効率の良さを極限まで追求してきた企業であり、これが同社の強みになっている。

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