金融・投資・マーケット

新FRB長官の手腕への「不安と楽観」

大きな変更はなさそうだけれど

3月20日、21日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)に関して、イエレン女史のあとを継いだパウエル議長の政策方針を“安全運転”、“慎重”と評する見方が有力だった。ニューヨークやロンドンの市場関係者にヒアリングしても、パウエル議長がイエレン体制の政策方針を踏襲し、大きな変更はないと考える市場参加者は多い。

ただ、同議長の声明文の内容や見ると、そう楽観してはいられないようだ。

今回、景気に関する評価は従来よりも引き上げられた。年内4回の利上げの可能性も示され、FRBが政策正常化を加速しようとしている意図が見える。政治・経済面の不確定要因が増えつつある中、パウエル議長が波乱なく金融政策を運営できるか不安だ。

不安残す議長の経済認識

今回のFOMCの印象として、パウエル議長の経済に関する理解力、それをもとに今後の金融政策がどう運営されるか不安が残った。記者会見で同氏は、目先の景気回復と物価上昇が加速する可能性があると述べた。参加者の先行き予想を見ても、前回の会合に比べて2018年、19年の実質GDP成長率の予想値が引き上げられた。

 

パウエル議長は、昨年12月に成立した税制改革が投資を促進し、景気が上向くとの考えを持っている。つまり、生産性が向上するから景気が更によくなるということだ。また、減税が労働参加を高めることも景気加速に寄与するとの見方を示した。もしそう考えるのであれば、長期の成長見通しは1.8%よりも高くなってしかるべきだ。

しかし、FOMC参加者の経済成長率予想を見ると、潜在成長率は1.8%と前回12月の会合から変わっていない。生産性が向上するのであれば、潜在成長率は高まるはずである。この基本的な経済成長の理論が、パウエル議長の見解から抜け落ちているように思える。潜在成長率が変化しないなら、なぜ目先の成長率は上向くか、その理由が示されるべきだ。

すでに、米国経済は潜在成長率を上回るペースで成長している。循環的な要因があるにせよ、景気回復が9年目に入り徐々に景気のピークは意識されやすい。実力以上の成長が続くと考えるには、それなりの説得力ある根拠が必要だ。それが示されなかったことに関して、従来に比べてFRBの政策議論を進める体制が不安定化している恐れがあると考える金融経済の専門家もいる。 

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