大いに盛り上がった大会は、「藤澤・山口」が8戦全勝で優勝を飾った(撮影/竹田聡一郎)
オリンピック

「ミックスダブルス大会」で見えたカーリング普及と強化のヒント

もぐもぐブームはもう飽きた
平昌五輪で男女ともに出場し、女子代表は銅メダルを獲得し、大いに盛り上がったカーリング競技。直後に行われたミックスダブルスの日本選手権も、オリンピアンがペアを組んで出場したことにより、メディアが詰めかけ、スタジアムは連日大盛況だったという。だが、この大会もみっちり取材した竹田記者は、ブームの今だからこそと、協会、そしてファンに警鐘を鳴らす。

ブームが一過性に終わるかどうかはファン次第

青森市のみちぎんドリームスタジアムで行なわれた「第11回 全農 日本ミックスダブルス カーリング選手権大会」は、平昌五輪に出場した山口剛史(SC軽井沢クラブ)と藤澤五月(ロコ・ソラーレ北見)が組んだ「藤澤 山口」が予選から負けなしの8戦全勝で優勝。即席ペアながらオリンピアンの技術を見せつけた。

JCA(日本カーリング協会)は、このペアを含む7人のオリンピアンをはじめ、国内トップカーラーを強化推薦枠として指名した。彼らが青森に集結した同大会は五輪の凱旋試合となり、チケットは即日完売。会場の内外は選手に接触しようとするファンで溢れたため、運営側は急遽サイン会を開催するなど対応に追われた。

また、冠スポンサーの全農は、平昌で注目を浴びたもぐもぐタイムのために、仙台の「もういっこ」、栃木の「スカイベリー」、佐賀の「さがほのか」など、国産ブランドいちご9種180箱を用意して選手に提供している。

会場にはブランドいちごが山のように積まれていた

目論見通り、ハーフタイムに選手がそれを口にすると、多くのカメラマンが色めき立ち、選手の口元にピントを合わせる。試合中よりハーフタイムのほうがシャッター音が大きく響きわたっていた。

 

さらに、今回は会場のスペースが限られていたこともあり、取材カメラは系列1社1台が原則で、入りきれない番組は会場の外で選手を出待ちした。

有名リポーターを青森入りさせて選手にぶつける局もあれば、出待ち入り待ちをしていたにも関わらず「取材をしていたら選手に遭遇」と厚顔にのたまう番組もあった。極めつけは、選手が昼食を摂るために寄った会場近くのレストランを取材し、「二人がお店でもぐもぐしたのはオムライスとグラタン」と目的のわからない映像を流すワイドショーだ。それらはカーリングという競技そのものはいっさい報じることはない。

「藤澤 山口」の入り待ちをするテレビ局のクルーたち

ただ、「これだからマスコミは」と一蹴してしまうのも乱暴だ。競技そのものとはかけ離れたバラエティ色の強い取り上げられ方をするのは、そこに需要があるからだ。

一方で、ネットやSNSでは「もっとカーリングそのものの魅力を紹介してほしい」という書き込みが目立つようになった。それならば視聴者はもぐもぐ一辺倒のワイドショーなど無視して、NHKが硬派に中継してくれている「女子の世界選手権」を見るべきだったのではないだろうか。。それがファンの特権であり武器であることを自覚することが第一歩かもしれない。今回のブームでが一過性に終わるかどうかは、見る側の姿勢がカギを握っているのは確かなのだから。

世界選手権の会場、カナダ・ノースベイで、日本代表の「富士急」はそれぞれができること、できないことを確認しながら立派に戦った。クオリファイ(プレーオフ進出)は厳しくなったが、初の世界戦で4勝(3月23日現在)を挙げた。素晴らしい成績と言っていい。彼女たちも日本が誇るカー娘の一員だ。カーリングファンなら、「LS北見」のメンバー同様に今後も熱い声援を送ってあげてほしい。

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