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移住はどれだけ増えているのか? 海外も注目する日本の「田園回帰」

移住者に「3つの変化」が起きている
日本で移住はどれだけ増えているのか? 移住者に見られる変化とは? 農山村の来るべき未来とは? 『農山村からの地方創生』著者の小田切徳美・明治大学教授が「田園回帰」という現象について考察する。

「田園回帰」と「地方消滅論」

「田園回帰」という言葉をご存じだろうか。

2010年代前半から、地域問題にかかわる一部の専門家が使っていた言葉だ。都市に住む人々が農山村(ここでは漁村や離島を含む)に移住する現象を指している。

2014年に、地方部の多くの自治体が消滅すると予測した、いわゆる「地方消滅論」が発表され、その反論としてこの言葉が知られるようになった。

東京一極集中は進んでいるものの、田園回帰という逆流のうねりもあり、それを見逃してはいけないという主張がなされたのである。

最近では、メディアでも地方移住が報じられる機会が増え、ネットやテレビ、新聞で移住者の生活や仕事などがたびたび紹介されている。

そして、日本のこの動きは、海外からも注目されている。

 

欧州ではこうした人口逆流現象は、すでに40年以上前のオイルショック時から現れており、特に英国・イングランドでは今も続く。

それは「逆都市化」(カウンターアーバナイゼーション)と表現されている。その移住先進国の英国でも、我が国の逆流現象が注目されているという。

実際、筆者にも、英国の『エコノミスト』誌からインタビュー依頼があった。

そこで、尋ねられたのは、「日本でいま進む逆都市化は、一時的なものか、それとも持続的なものか」という本質に迫る議論であり、海外からの深い関心を知ることができる。

田園回帰が活発化する地域はどこか?

しかし、実は、移住者数にかかわる公的なデータはない。

地方消滅論を契機として始まった政府の地方創生は、人口の東京圏一極集中に歯止めをかけることを目標とするが、移住者数自体は調べていない。

そこで、3年前になるが、筆者の研究室(明治大学農学部地域ガバナンス論研究室)では、NHK、毎日新聞と共同で全国の自治体に移住者調査をおこなった。

その結果を見ると(表1)、移住者数は2014年度には全国で11,735人を数え、前年比、43%増、また2009年からの5年間では約4.1倍である。この増大のスピードが注目される。

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