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僕が毎月「妻の布ナプキン」で手を血に染める理由

生理ってインフルエンザよりつらい
鈴木 大介 プロフィール

なぜ生理用品は隠されているのか

もちろん世の中の女性には生理が重い人と軽い人が居ることぐらい、無知な僕でも知っている。けれども、その重さについて、生理のない男が真面目に考える機会なんかあまりないだろう。お妻様や知人女性からの「インフルエンザよりつらい」の即答は、ちょっと衝撃だった。何がってまず第一に、我が妻が毎月数日とはいえ、そこまでつらい思いをしていることを、真面目に考えたことがなかったことだ。

その状態のお妻様に、僕は「早く起きろ」とか「あんま仏頂面すんなよ」とか「せっかくの休日だから出かけようぜ~」とか、まあ好き放題言いまくってきた。

我が家だけじゃないだろう。世の中の半分は女性で、だいたいその人生の半分ぐらいは生理があって、お妻様たちのようにインフルエンザ並みに生理が重い人はその何パーセントかは分かんないけど、その苦しさってあまりにも語られてない。

なんでだろう? 考えていたら、沸々と猛烈ないらだちが湧いてきた。

有給で生理休暇がない会社って全部ブラック企業じゃん!

インフルエンザよりつらい状況の妻に家事やらせてる夫って全員DV男じゃん!

「起きることもままならない」ほどつらいのに、それを周囲に説明しなければならないのは理不尽ではないか!?

核家族化が進む前の日本で、姑が生理軽い人で嫁が生理重いケースはどうしてたの!?(この姑も嫁も、文字そのものが腹立つのは別にしても!)
 
家庭の中で生理の重い妻を支えれられるのはパートナー以外の誰!?

photo by iStock

ご家庭のトイレで、トイレットペーパーは外に出ているのに、生理用品は何かに隠されてはいるのはなんで? 少なくとも僕の育った家や友人の家ではそうであることが多いけど、それはなぜだ!? 

そういえば買い物先で生理用品を買うと、ほとんどの店舗で不透明な袋に入れられるんですが、それはなぜだちくしょー!!

やばい、だいたいの言葉がブーメランで戻ってきてザクザク僕に刺さるんですが……。

 

さて、大懺悔タイムだ。

決して大げさじゃない。生理が重い女性の周辺で起きていることは、女性というか、弱っている人間に対する無理解と理不尽の象徴だ。

僕はこれまでの著作でも、人の他人に対する想像力の限界について切々と訴えてきた。

人は「血を流す怪我」とか「折れて変な方向に曲がった関節」とか、見て分かる苦しさや痛みについてはリアルに想像し、助けの手を差し伸べることができるが、目に見えない心の病とか内臓疾患とか、パッと見で五体満足な人が苦しんでいることに対してその痛みをリアルに想像することが難しい。そんな見え辛い痛みを抱えたひとに対する「君は痛そうに見えない」「それは甘えじゃないの?」という無理解は、世の中にはびこる自己責任論の正体の中でも最悪の強敵だ。

けれど、少なくとも女性の生理には目に見える流血が伴うわけで、それは可視化された身体症状だ。にもかかわらず、見えてない、隠されている、だから男は想像もしない。毎月インフル……ありえんわ。

新生・ブルーバックス誕生!