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野球 週刊現代

甲子園に行ける子は、13歳までに決まっているという現実

ドキュメント 野球エリート

今年のセンバツ甲子園は、大谷翔平や清宮幸太郎に優るとも劣らない「スーパー高校生」たちが何人も登場する当たり年。彼らはいかにして育てあげられたのか。素顔を、どこよりも早く紹介しよう。

新たなる二刀流

今週23日から甲子園で開幕する第90回記念選抜高校野球大会。優勝候補の本命は、PL学園以来36年ぶり史上3校目の春連覇を目指す大阪桐蔭(大阪)だ。

対抗は大会最多29回目の出場にして、29年ぶりに史上最多5度目の優勝を狙う東邦(愛知)である。

奇しくも、この両校には、プロが高く評価する今年と来年のドラフトの目玉がいる。

私が中学生時代から注目し、取材を重ねて、拙著『野球エリート 野球選手の人生は13歳で決まる』に書いた2人の〝怪物〟だ。

とりわけ大阪桐蔭の二刀流・根尾昂(新3年生、177cm、77kg、右投げ左打ち)は、昨年春に甲子園デビューするや、初打席で初安打初打点を記録。決勝では抑えとして登板、見事に優勝投手となり、全国のファンの注目を集めた。

打っては鋭いライナー性の打球を飛ばし、投げては140km台後半の直球で打者を仕留める。守っては内野も外野もこなし、走りでも豹のような身のこなしと俊敏さで果敢に先の塁を狙う。

類い稀な素質とセンスは、出身地の雪国、飛騨高山で2歳から始めたというスキーによって培われた。中学2年でアルペン全国大会に優勝、イタリアの国際大会にも出場したほどである。根尾本人の証言。

「スキーではとくに体幹と下半身を鍛えられたので、それが野球にも生きていると思います。

バランスを崩して転倒しそうになっても、しっかりと体勢を立て直して滑らなきゃいけない。そういう身体の使い方が、守備や走塁にいい影響を与えているんじゃないかな」

丁寧で理路整然とした口調からは、育ちのよさと聡明さがうかがえる。両親はともに飛騨市内の診療所に勤務する医者で、高校まで野球をしていた根尾の兄も、現在は岐阜大学の医学部に在籍している。

そういう勉強家の家庭に生まれ育ち、小学2年生から野球を始めた根尾は、やがて本格的にのめり込んでいった。

「小6(2012年)の夏休みに、初めて甲子園に家族一緒に野球を見に行きました。内容は覚えてませんけど、それが大阪桐蔭の試合です。

その年はテレビでも大阪桐蔭を見て、スピードがあるというか、攻撃でも守備でも動きが止まらない野球が印象に残りました」

そのころには、根尾の試合を見に、岐阜県下のボーイズリーグやシニアリトルリーグの指導者が飛騨高山まで足を運んでいた。その中のひとり、飛騨高山ボーイズ監督の森本健吾は、こんな場面を鮮明に記憶している。

「根尾がサードを守っていて、相手打者がレフトの頭を越える長打を打ちました。その打球を追いかけた根尾は、レフトの子を追い越してボールを拾い、内野に返球したんですよ。

ランニング本塁打になりそうな打球を、二塁打までにとどめた。まったく漫画に出てくるようなプレーでしたね」

新生・ブルーバックス誕生!