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東京湾岸タワーマンション、全部歩いてわかった「不安なほどの格差」

どれもこれも同じに見えるけど…

東京五輪開催に刺激された面もあり、東京湾岸でタワーマンションの建設ラッシュが続いている。ハコが増えただけでなく、実需要も集中し、価格は高止まりを続けている。湾岸の風景はいまどうなっているのか。実像と実態をつかむため、思い切って江東区から品川区のタワマン集中エリアを(もちろんクルマも使って)歩いてみた。(写真/的野弘路)

 

「住宅供給過剰」の指摘はかき消されて

日本経済新聞で連載「限界都市」が始まった。人口減少でゆがみが生じてきた都市問題を追う、という。第一回(3月21日付)は、都市機能整備のための市街地再開発において、補助金を使ってタワーマンション(タワマン)を併設するケースが増え、住宅の供給過剰が懸念される、という内容だった。

同記事によると、2016〜20年に行われる再開発事業では、じつにその半分でタワマン建設を伴うという。現代ビジネス「住まい方研究所」の前回記事「『武蔵小杉がいま熱い!』と騒ぐ人たちがまったく気づいていないコト」で取り上げた武蔵小杉のタワマン林立も、まさにそうした再開発事業の産物だ。

そして、日本で最も(純粋な民間事業も含めて)タワマンが集中しているのが、言わずとしれた東京湾岸地区である。現時点で、品川区で1万戸以上、中央区と港区で2万戸以上、江東区ではなんと3万戸以上の住戸が、タワマンによって供給されている。1戸に3人が暮らすと仮定すると、この4区だけで少なくとも24万人がタワマン居住者になりうる

Google Mapによる立体画像Google Mapによるタワーマンションの立体画像。手前が豊洲・晴海エリア google(c)

その光景がどれだけ圧倒的か、グーグルマップの立体機能を使って俯瞰してみたが(写真)、ボリュームは伝わってくるものの、どうしてもミニチュアに見えて実感がわかないので、実際に現地を歩いてみることにしよう。

築地市場への移転決定で、豊洲の再評価始まる

湾岸の建築物撮影に慣れたカメラマンの提案で、最初に訪れたのは晴海と豊洲。晴海大橋からは、数多くのタワマンを一挙に望めるとのことで、往復1.2キロのこの橋を歩き、撮影を行った。その成果が以下の写真だ。価格相場や規模感を把握するために、代表的なタワマンに触れておこう。

晴海エリア西晴海エリアのタワマン群。写真の左で東京五輪選手村の大工事が進む

まずは晴海エリア。左から「ザ・トウキョータワーズ(シータワー&ミッドタワー)」(58階建、2008年築)「ドゥ・トゥール(イースト&ウエスト)」(52階建、2015年築)と、UR賃貸「ベイシティ晴海スカイリンクタワー」。人工知能を活用したマンション価格推定サービス『家いくら?』を使うと、ドゥ・トゥールの51階3LDK(72.95m2)は8,826万円と試算された(以下、断りない限り『家いくら?』による推定価格)。

ザ・トウキョータワーズは、発売時の宣伝にハリウッド俳優のリチャード・ギアを起用。高層階の分譲向け約2,000戸が1年強で完売したという。売りに出ている物件を見ると、48階の2LDK(120.17m2)で1億2400万円。低層階の約800戸は高級賃貸で、現在(3月20日時点)30戸が空室、30階の3LDK(86.85m2)の賃料が32〜36万円。

この南西にある広大な敷地に、現在、東京五輪の選手村(宿泊施設21棟)が建設中だ。五輪終了後には、タワーマンション(50階建)や商業施設、学校、消防署が追加で建設される計画で、選手の宿泊施設も住宅として使われるという。戸数にして約6,000戸、すでに過剰供給を危ぶむ声も出ている。

さて、一時代を築いたオフィスビル「晴海トリトンスクエア」側(晴海大橋の東側)に目を向けよう。

晴海エリア東晴海エリア東。建設中のタワマンは「パークタワー晴海」

左から、「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノ&ティアロレジデンス」(49階建、2013年&16年築)、建設中の「パークタワー晴海」(48階建、2019年竣工予定)。クロノレジデンスは48階の3LDK(126.62m2)で1億499万円。パークタワーは、公式サイトでの予定最多販売価格帯が7,400万円台となっている。

次に、築地からの市場移転が決まり、再び脚光を浴びる豊洲エリア。左端が「アーバンドック パークシティ豊洲タワー A棟」(53階建、2008年築)。売りに出ている部屋が少ない。複数の不動産サイトによると、48階の3LDK(80.38m2)で8,990万52階の3LDK(162.13m2)が2億4,810万円。複合商業施設「ららぽーと豊洲」と直結の便もあり、築10年ながら価格の維持に成功している。右隣りは同「B棟」(32階建)。

豊洲エリア北豊洲エリア北。右下の岸壁沿いに複合商業施設「ららぽーと豊洲」が見える

上の写真ではパークシティ豊洲タワーに隠れているが、奥に「シティタワーズ豊洲ザ・シンボル」(44階建、2009年築)が立ち、43階の3LDK(150.52m2)が1億2022万円35階の3LDK(72.22m2)が6,710万円と推定される。その右隣りに3棟並ぶのは大型オフィスビル「豊洲キュービックガーデン」「豊洲フォレシア」「豊洲フロント」。その奥に見えるのが「ザ・トヨスタワー」(43階建、2009年築)。

豊洲エリア南豊洲エリア南。建設中のタワマンは豊洲駅前交差点に接する交通の便が人気とか

続いて上の写真、左側のツインタワーは「シティタワーズ豊洲ザ・ツイン」(48階建、2009年築)。手前に見えるオフィスビル「豊洲センタービル」を挟んで、東急不動産が建設中のタワーマンション(50階建、2021年度竣工予定)。豊洲駅5分以内に建つ最後のタワマンとされている。

その右に「豊洲シエルタワー」(40階建、2006年築)。最上階直下39階の3LDK(73.16m2)が5,458万円と、駅至近物件にもかかわらず割安感があるせいか、築10年を超えたいまなお前年比1割上昇。人気復活の兆しが見える。