Photo by gettyimages
サッカー エンタメ 日本

岡田武史とザックにあってハリルに足りない、日本代表監督の「資質」

「星の下に生まれたか、否か」

今年6月に開催されるロシアワールドカップ、ハリルJAPANは成功をつかめるのだろうか?  今夜から行われるマリ、ウクライナとの国際親善試合が、メンバー発表前最後の海外遠征。本大会に向けた試金石となるのは間違いない。

サッカー日本代表監督を務めるヴァイッド・ハリルホジッチには、批判的な声が根強い。

説教臭く、癇癪持ちで、スノッブなところがあって、人に敬遠されるところがある。もっとも、それは人間としての印象であって、リーダーとしての実像はどうなのか。

そもそもサッカー代表監督の資質とは何か。まずはそこから語るべきだろう。

 

岡田監督はなぜ「名将」と言われたか

サッカー代表監督の仕事は、サッカークラブ監督とはまるで違う。代表の活動は不定期で限定的で、クラブは日常的で継続的。必然的に、監督に求められる資質も異なる。

「クラブチームの監督としてリーグ戦で優勝する。それが一番難しい仕事だろう。いや、難しさの質が違うと言うべきか」

かつてレアル・マドリーを率い、最終節にFCバルセロナに逆転優勝をさらわれた経験のあるスペイン人監督ベニート・フローロがそんな話を明かしてくれたことがあった。

「クラブを率い、1年を通じてリーグ戦を戦い、長いスパンで結果を出す。それは実力勝負。プレースタイルを作らないといけないし、仕事は濃厚になる。

一方で代表チームは、本大会に出てしまえば優勝するまで最多7試合。博打的な要素が必然的に強くなる。勢いや運に左右される。その点、代表監督は星の下に生まれているか、生まれていないか

日本代表の場合、現実的にワールドカップ優勝は難しい。

当面は、決勝トーナメント進出が目標となる。その場合、3試合+1試合ですべての価値が決まってしまう。そこで勝てば官軍、内容など問われない。

事実、2010年南アフリカワールドカップで日本代表を率いた岡田武史監督は、大会前に痛烈な非難を浴びていたにもかかわらず、史上最高の成績を残し、大会後は手のひらを返したように名将と讃えられている。

岡田監督は開幕直前に戦い方をがらりと変え、「専守防衛カウンター」で活路を得た。これは選手からの要望だったが、目指してきたものをかなぐり捨てた成功だった。

言い換えれば、積み上げてきたものに固執しなかったことが、成功をもたらした。

Photo by gettyimages

代表監督とは「選ぶ人」である

しばしば勘違いされるのだが、代表監督として成功する条件は、「その国のサッカースタイルを作る」ことではない。

たしかに90年代前半まで、代表チームはその国のサッカーの旗頭になっていたが、各クラブの特色が増したことで、自ずとその意味合いは薄れた。むしろ、各クラブのカラーを持った選手をどうやって代表に吸い上げるか、という構図になった。

誰を選ぶか、のセンスが重要なのだ。

事実、スペイン語で代表監督は「Seleccionador」と表記される。選手をセレクションする人、という意味である。「Entrenador」が、トレーニングする人、で大まかに指導者を意味するわけだが、代表監督は特別な呼び方がある。

では、代表監督の使命はなにか?

「最後に勝てるか」

これしかない。そのために、代表監督は正しい戦略判断で適切な選手を選び、その士気を高め、幾ばくかの運に恵まれ、勝利を得られるか。なにを言おうが、負ければ賊軍なのだ。

これは少し突き放した考え方だろうか?

しかし、代表チームは定期的にトレーニングするわけでも、メンバーも同じわけではない。つまり、チームスタイルを定着させる難しさは厳然としてある。クラブチームのようにトレーニングで戦術を仕上げることは、ほぼ不可能なのだ。

新メディア「現代新書」OPEN!