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財務省は「森友文書」の真相が一発で分かる方法をなぜ使わないのか

「記録がない」はずがない

公文書管理システム改革の「試案」を示そう

今回の事件は、逆の見方をすると、国の公文書管理システムの「穴」を明らかにしたとも言える。経緯がある程度判明した暁には、公文書管理法の見直しや罰則の強化も議論されるに違いない。だが前述したように、国会議員も官僚もITに疎い実情では、おそらくシステムの整備までは十分に目が届かないだろう。

そこで筆者は、官公庁の公文書管理システム改革の「試案」を示したいと思う。

まずは、職員用の端末を「シンクライアント」にするのはどうだろう。

「シンクライアント」とは、センターサーバーに端末をLANやインターネットで接続し、アプリケーションの処理やデータの保管などを可能な限りサーバー側で行うしくみだ。端末にはHDDを組み込まず、最小限の処理能力しか与えないので、編集したデータは端末内に記録できない。

事情に通じている人からは、「現場の事情に応じた対応が制限される」「使い勝手が悪い」といった指摘もあるようだが、今や誰もが持つスマートフォンやタブレットは似たような仕組みで動いている。それに、行政の事務や意思決定は法律に基づいて行われるのだから、融通が利かないほうがいいという見方もある。

 

サーバーがダウンしたり、サーバーのストレージがクラッシュすることに備えて、別系統のバックアップ用サーバーを立てるのも有用だ。

金融機関が関東と関西に、完全に同期した「ホットスタンバイ・システム(二重化システム)」を構築したのはもう30年以上前のこと。当時は1台数億円のメインフレームを使わざるを得なかったが、現在はクラウドという経済的な手段がある。

上記に加えて、EC(電子商取引)でデジタル・フォレンジック(法的根拠となる鑑識調査)に採用されているタイムスタンプと、マイナンバーのマイナポータルや仮想通貨ですでに実用化されているブロックチェーンの技術も適用するべきだろう。

タイムスタンプはイベント(登録や改変など何らかのコンピュータ処理)が発生した時刻を電子的に証明するもので、日本でも2001年4月施行の「電子署名法」で法的に規定されている。電子証明書は署名(自署)や押印と同等の法的効力があると認められているのだから、行政が採用しないのは「紺屋の白袴」である。

公文書データには、アクセス管理機能とバージョン管理機能を必須とすることも重要だ。

出版・印刷会社ではとうの昔から紙台帳でやっていたことだが、電子的にバージョン管理をすれば、文書の内容やエビデンス情報の改変が追跡できる。また特定部局やグループ、個人による意図的な改変が行われたとしても、遠隔地に設置された別のサーバーに原本が保存されていれば、復旧が容易になる。

さらに言えば、作成から一定期間が経った公文書は、エビデンス情報とワンセットで国のデータ倉庫(Data Wearhouse:DWH)に格納するといいだろう。

DWHの設置場所は、例えば北海道・大雪山のふもとでも、新潟県の佐渡島でも、全国の廃校の校庭でもいい。つまりどこでもいい。もちろん自然災害の可能性や保安のしやすさも考慮しなければならないが、地下に数千、数万台のサーバーとストレージを集積してDWHを構築するという手もあるだろう。

現在は市区町村自治体が分散管理している住民情報や戸籍、地籍のクローンを、このナショナルDCに格納してクラウドで共用すれば、大規模災害から国民の生命・財産を守る際にも役立つに違いない。

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