サッカー

強い組織は「キレイ好きから始まる」はどうやら本当だった

3つの好調スポーツチームから分かった

岡田監督はなぜ美意識を求めたか

強い組織は、キレイが大好き。

自分のモノは自分でしっかりと整理整頓する。話は15年前にさかのぼるが、元日本代表監督の岡田武史氏(現FC今治オーナー)が横浜F・マリノスの監督を務めた際、選手に対してまず求めたのが「美意識」だった。

ロッカールームをキレイにする。サンダル、スリッパをそろえる。スパイクをそのまま放っておかない。やれていない当たり前のことを、徹底させるのはそう簡単ではない。指揮官はスタッフにまで徹底させた。

岡田はその狙いについて、こう語っていた。

「ニューヨークの市長は犯罪を減らすために何をしたかと言ったら、地下鉄の車両にあった落書きを消すことから始めた。キレイにしたら本当に犯罪が減っていった。意識を変えるには、そこからやる必要があった」

自分の意識が高まれば、周りの意識も高くなる。誰かが乱せば、それを許さない空気に変わる。ロッカーのみならず身の回りの整理整頓の範囲を広げて、自分のクルマまでキレイにする選手が増えた。その美意識は、勝負に対する執着につながった。横浜F・マリノスは2003、2004年とリーグ2連覇を達成。キレイが育てた執着心が、結果を生み出した。

 

なぜこのような昔話を持ち出したかと言えば、昨季のJ1でジュビロ磐田を6位に躍進させた名波浩監督があのときのF・マリノスと同じように美意識を求めるところからチームづくりを始めたからである。

クラブの〝レジェンド〟である名波が監督として戻ったのが2014年9月。J2に降格していた古巣をシーズン途中から率いたが、このとき真っ先に気になったのがクラブハウスの正面玄関でサンダルが散乱していた光景だったという。

「サンダルも入る2段式の下駄箱がみんなそれぞれ用意されているのに、そこに入れずに脱ぎっぱなし。洗濯をしてくれるおばちゃんがカートで洗濯物を運ぶのに、これじゃ(玄関の)サンダルで引っ掛かってしまう。カートをわざわざ上げるの大変でしょう。

だからサンダルはきちんと下駄箱に入れるようにと伝えました。それと洗濯物も、裏返しにしないで渡してほしいと。1人ひとりの洗濯物をひっくり返すだけで大変な作業なんだから」

整理整頓の輪は一気に広がった。美意識を持つことと同時に、周りに対する感謝と配慮を意識させた。洗濯をしてくれるおばちゃんの気持ちになる。洗濯をしてくれるおばちゃんのためにも勝ちたいと思う。スタッフ1人ひとり、選手1人ひとりに対しても感謝と配慮を考える。

名波がつくるジュビロは一体感の強いチームとなり、J1昇格を果たし、昨季はそのJ1で上位に食い込むなど着実に復活への階段をのぼっている。

今も磐田市大久保にある磐田のクラブハウスは、玄関前がキレイだ。玄関は家の顔とも言われているだけに、ロッカールームを含めクラブハウス内もキレイであることは想像できる。

身の周りの整理整頓と強いチームの関係性は何もサッカーばかりではない。どの競技、または様々な組織でも同じことが言えるのかもしれない。

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