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企業・経営 週刊現代

「クーデターで会社を追われた男」積水ハウス前会長がすべてを語った

この問題、根が深い

前代未聞のクーデター騒動が発覚してから約1ヵ月。関係者たちに総力取材すると新たな事実が浮かんできた。経営陣が明かさないこと、土地事件の真相、会社のこれから――。この問題は根が深い。

森友問題と同じ

「僕はこの件についてはもうなにも言いたくないんです。僕がなにを言っても負け惜しみみたいで格好悪いでしょう。正直、いまはもう気持ちが切れてしまっている。ここまで頑張ってきたのにどうしてこんなことになってしまったんだろう、と。

ただね、会社が3月に発表した報告書の概要。あれはウソの固まりですよ。阿部や稲垣はあんなものを出して、どうして平気な顔をしていられるのか。

もうウソにウソを重ねるために、なにがなんだかわからないものを世間に発表してしまっている。森友問題と同じ『書き換え』みたいなもんですよ。

調査対策委員会が出してきた報告書の中身について、守秘義務があるので僕の口からは言えません。ただ、会社が発表したものは、肝心なところがすっぽり抜け落ちているんです。それが表に出たら阿部は辞めざるを得ないでしょうからね」

3月14日、積水ハウス前会長の和田勇氏(76歳、現相談役)を直撃すると、こう語り出した。これまで明かされなかったクーデター騒動の「内幕」について、はじめて口を開いた――。

3月8日、積水ハウスは決算会見を開催し、クーデター騒動後はじめて、阿部俊則会長(66歳)、稲垣士郎副会長(67歳)、仲井嘉浩社長(52歳)の経営幹部が姿を現した。

あらためて騒動を振り返ると、発端は東京・五反田の土地取引をめぐる詐欺事件。昨年4月、積水ハウスは五反田駅に近い約2000平方メートルの土地の売買契約を締結したが、63億円を支払った段階で書類の偽造などが発覚して、土地を取得できない事態に直面。

所有者になりすまして無断で土地の売買をする「地面師」に騙される被害に巻き込まれた。

 

その後、会社が調査対策委員会を発足させて事件の詳細を調べたところ、委員会は当時社長だった阿部氏に「重い責任」があったと認定。

今年1月24日の取締役会で当時会長だった和田氏が阿部氏に責任を問う形で社長解職の動議を提案すると、5対5で否決。直後、返り討ちに遭う格好で今度は和田氏の解任動議が出されると、和田氏は辞任に追い込まれたのである。

このクーデター騒動が一向に収束の気配を見せないのは、騒動後に会社側があくまで和田氏は「辞任」だったと主張しているため。

さらに、阿部氏が会長に退くトップ交代人事についても五反田の土地問題とは無関係であり、あくまで「世代交代」だと火消しに回ってきた。

そうした会社側の不透明な説明に批判が高まる中、3月8日の会見ではついに「真相」が語られるのではないかと、決算会見の会場となった大阪証券取引所4階の会議室にはメディアが殺到したのである。

出席者の一人が語る。

「結論から言えば、完全に肩透かしでした。取締役会で和田氏の解職動議が出たことは認めながら、最終的には和田氏がみずから辞めたので辞任だったとの主張を繰り返すばかり。

土地問題についても、確かに報告書が阿部氏の責任を指摘していたことは認めたが、その報告書の『概要』だけを公表し、報告書の詳細についての質問は『これ以上は説明できない事情がある』などとして拒んだ。

さらに、『報告書は人事処分を提言するものではない』として、阿部氏の責任論を回避してみせた」

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