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一巡めぐって、結局トランプが世界経済最大の「リスク」に戻った理由

山高ければ、谷深し…

足許で米国の孤立感が高まっている。その背景に、トランプ大統領の保護主義的な政策運営がある。鉄鋼、アルミニウムなどの輸入制限に続き、大統領は対中貿易赤字の削減のために600億ドルに上る制裁関税なども検討しているという。

この方針を受けて、金融市場ではドルの先行き懸念が高まっている。その意味では、トランプ大統領自身が、世界経済の最大のリスク要因の一つになってしまった。

米国の対応を受け、中国が報復措置を実施し、貿易戦争が進むとの見方は増えやすい。その展開を食い止めてきた良識ある側近がホワイトハウスを去っているため、先行きの不透明感は増している。

米国内での支持を確保することもままならない中、トランプ氏が自らの成果を誇示するために従来には考えづらかった政策を進めるリスクは高まっていると考える。

 

トランプファーストの政策運営

現在、米国の潜在成長率は1%台半ばから後半と考えられる。潜在成長率とは、一国内の資本と労働力、テクノロジーの要素を動員した場合に達成可能と推計される成長率のレベルをいう。言い換えれば、景気循環などの影響を取り除いた経済の実力だ。足許、米国の実質GDP成長率は年率ベース2.5%であり、実力以上に良い。

トランプ氏はこの成長率を自らの手腕で引き上げようとしている。同氏の経済運営はステロイドを使って、無理やり筋力を増強しようとする考えに似ている。

過度な経済刺激策は、一時的な景気の過熱・高揚感をもたらしはするだろうが、持続的なものとは考えづらい。"山高ければ谷深し"と言うように、景気を過度に拡大させた結果、その後の景気低迷を長引かせる恐れがある。

それでも、同氏は輸入制限を通した鉄鋼業などの復興や、先々の所得増加期待などを高めて支持率を確保することに執着している。それは、米国の利益ではなく、トランプ氏自らの利害に基づく"トランプファースト"の考えというべきだ。対米貿易黒字を抱える中国への批判はその表れだ。

この考えは強まる恐れがある。国家経済会議(NEC)委員長に、追加的な減税や中国との貿易環境の改善を求めるラリー・クドロー氏(CNBCのコメンテーター)が選任されたことは、大統領がイエスマンを欲していることを示唆する。

輸入制限が発表される中で対中強硬派とみられるポンペオCIA長官が国務長官に指名されたことも、米国の政策不透明感を高める要因だ。

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