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中村江里子が実感した「フランス女性が子どもを産む理由」

サービスは悪い国だけど

フランスに住む友人と話して驚かれるのは、日本ではキャリアが結婚や出産によって閉ざされることが少なくないということです。仕事やお金のことを理由に出産をあきらめる、という考えが、フランスにはほとんどないからなんです。

そう語るのは、元フジテレビアナウンサーで、1999年ごろからパリに住んでいる中村江里子さんだ。

フランスでは1994年に1.66となった出生率が2000年に2.00に回復、2015年は1.92で、先進国の中でもスウェーデンやアメリカと並びトップにある。ちなみに日本は1.45だ。

日本の出生率の低さの理由は何だろうか。ベストセラーとなっている『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の中で、著者の河合雅司さんは厚労省の「第2回21世紀成年者縦断調査」を紹介している。それによると、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第二子出生率が高いことがわかるという。2時間未満だと29パーセントだが、6時間以上では80パーセントだとか。内閣府でも欧米の男性育児休職取得率の高さに目をつけ、研究は進められているところだ。

2004年から2010年までにパリで3人の子どもを出産した中村江里子さんが、フランスで出産したからこそわかる「フランス人女性が子どもを産む理由」について語ってくれた。

出産費用がかからないのは同じ

基本的には妊娠、出産で費用が掛かるということはありません、フランスは医療と教育は誰もが平等にうけられるものという考え方があります。公立の病院に行っていれば、全く支払いの必要がなく、収入がなくても安心して出産ができるはずです。

私が出産したいと思ったのが私立の産院だったので、その都度、支払いが生じました。ただ、入院費を含めて総額30万円くらい支払い、最終的には健康保険やミュチェルと呼ばれる二重保険からすべてが返ってきました。

 

勿論、高額な入院費などがかかる大きなホスピタルもあります。その場合は規定の額までは返ってきますが、それ以上は本人負担となります。

日本でも健康保険に入っていればそれぞれの自治体によって30万円~50万円の補助金が出るので、よほど高額な病院でなければほぼ無償で出産が可能ですよね。そういう意味ではフランスと日本とで条件はそんなに変わらないのではないかと思います。

それでも、妊娠、出産を考える場合、育児費用が高いからためらってしまうという話を聞きました。金銭的な問題だけであきらめざるをえないことがあるとしたら、それは残念なことです。つまりは出産そのものの費用に問題があるというよりも、出産してからのことにより問題があるということではないでしょうか。

里帰り出産はほとんどない

パリではフルタイム、ハーフタイムなどを含め働く女性の割合はおよそ85%と聞いています(ただ、子供が3人以上となると働く女性の割合はぐんと減ります)。経済的な理由から夫婦ともに働く必要があるということだけでなく、女性が結婚、出産によって自分のキャリアをあきらめなければならないような社会ではないからです。「女性も一人の人間として、妻、母である以上に自分の人生を歩むべき」という考え方が根付いています。

我が家の場合、一人目が生まれた時は彼も会社員だったため、出産時やその後数日間はとてもよく手伝ってくれました。私は言葉もまだかなり不自由していましたし、すべてを二人でやらなければなりませんでした。

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