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米FRBの引締め政策が再び「株価大暴落」を招く可能性

「均衡イールドカーブ」を分析すると…

FRBの金融政策スタンスと株価の関係

読者のみなさんは「自然利子率(the Natural Interest Rate)」という言葉を耳にされたことがあるだろうか。

「自然利子率」とは、簡単にいえば、景気に対し引締め的でもなく、緩和的でもない「中立的な」金利水準のことを指す。これは、『中央銀行が政策金利を中長期的にどの程度の水準に誘導すればいいのか』という重要な議論を行う際に必要不可欠な考え方である。一般的にいえば、中央銀行は、政策金利を、「自然利子率+目標インフレ率」で算出される「均衡水準」に誘導するのがベストな金融政策であるということになる。

また、実質ベース(名目から予想インフレ率を割り引いた)の政策金利が自然利子率を上回っていれば、現行の金融政策は引締め的、逆に下回っていれば、緩和的と考えられるため、「自然利子率」は、現状の金融政策スタンスを推し量るツールとしても用いられることがある。

 

ただし、これは、金融政策の手段として「政策金利の誘導」が機能する世界での話である。政策金利がゼロに到達してしまうと、中央銀行はそれ以上の緩和政策を政策金利の引き下げで行うことができなくなる。そこで、言うまでもなく、主要国の中央銀行がこぞって採用したのが「QQE(量的質的緩和)政策」であった。

政策金利(「名目」である点に注意)が一旦ゼロに到達してしまうと、そこから先は、中央銀行がいくらQQE政策を実施しても政策金利から得られる「(金融政策に関する)情報量」もゼロである。だが、その代わりに、QQE政策の実施によって、「翌日物金利」である政策金利から、より長期の金利に低下圧力がかかってくる(「イールドカーブがつぶれる、もしくは、つぶす」という現象)。

そのため、QQE政策下では、金融政策に関する情報は、政策金利だけでは得られず、より長期の金利を含むイールドカーブ全体から得る必要性がより高くなる。

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このような経緯から、QQE政策のスタンス(緩和が十分か否か)を考える新たな枠組みとして「均衡イールドカーブ(the Natural Yield Curve)」というコンセプトが考案されている。

これは、簡単にいえば、「政策金利(翌日物金利)」のみに適用される「自然利子率」の概念を、長期金利を含む金利体系全体に適用したものである。つまり、「均衡イールドカーブ」を基準に、実際のイールドカーブが上か下かで、金融政策(特にQQE政策)が引締め的か緩和的かを判断するというアプローチである。

このアプローチを適用しようと思えば、長期の予想インフレ率のデータを整備する必要がある。多くの国で長期の予想インフレ率のデータを入手することが困難であることから、この「均衡イールドカーブ」というアプローチはあまり普及していないのが現状である。また、予想インフレ率のデータは、サーベイ調査から入手されるケースが多いが、そのサーベイの質も大きく影響する。

今回は、この「均衡イールドカーブ」を、比較的充実している米国データで算出し、FRBの金融政策スタンスと株価の関係について、特に、2月の株価調整とFRBの金融政策スタンスの関係について考えてみる。

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