AIでギャンブルの結果を予測する――。これを実現したサービスがある。今年2月にリリースされた競艇(ボートレース)予想の人工知能「みずはのめ」がそれだ。

日本神話に登場する水の神様から名を取ったこのサービスは、開発開始から1年半で、回収率151%の「最強AIギャンブラー」へと進化した。開発者・安東卓也さんに開発の経緯とAI時代の展望を語ってもらった。

取材・構成/田嶋裕太

競艇予想の人工知能「みずはのめ」の画面

AIでレースを予想する

今回開発した「みずはのめ」という競艇の予想人工知能では、過去100万以上のレースデータをもとにして、その日開催される予定のレースで的中する確率の高い舟券を予想し、的中確率をパーセンテージ化したものを公開しています。

ユーザーは有料のポイントを支払うと、各競艇場の全券種の的中確率とオッズ(賭け率)が見られるといった仕組みです。レースの状況によっては的中確率が単勝で70%、三連複で20%を超えることも少なくありません。

競艇は毎レース6艇で競われ、1周600メートルのレースコースを3周して入着順位を決める競技です。ほぼ毎日100レース以上行われていますが、競馬や競輪とは違い、例えば当てやすい複勝のオッズがほぼ1.0倍に近い数字になり、的中してもまったく利益にならないことが多々あります。

そのため、オッズと的中確率の期待値から「みずはのめ指数」を出しています。数値が高い舟券はいわば「おいしいレース」で、利益が出やすくなるということです。

また、競艇は発売締め切り時刻直前まで刻々とオッズが変わっていきます。特に単勝や複勝とかだと、締め切り直前に購入が集中すると一気に1.0倍になってしまうこともあるんですね。そのため、サイトのダッシュボードで公開しているオッズはリアルタイムで更新しています。

競艇予想の人工知能「みずはのめ」開発者の安東卓也さん

競艇はAI向きのゲーム

「みずはのめ」の開発を始めたのは2016年の秋ごろです。1年くらいで「勝てる」人工知能に育て上げられました。

開発のきっかけは、人工知能の勉強を始めた頃に、データ分析を専門とする仲間と出会ったからです。彼が競艇のデータを持っていて、そのデータをもとに人工知能を作りました。

今までは競艇場に行ったことも舟券を買ったこともありませんでした。それなのになぜ競馬や競輪ではなく、競艇の予想を開発の対象に選んだのか。

それは、競艇というゲームの特殊性にあります。

競艇は、ほかの公営競技よりも比較的プログラムが組みやすいのです。どういうことか。

たとえば、競馬では出走する馬の数や距離、ダートか芝かといった路面条件など、様々な要素が複雑に絡み合ってレース結果に影響します。

一方で競艇は毎レース6艇と出走数が決まっていて、コースの長さも一緒なので、データを扱いやすい。毎日レースをやっているので大量のデータを取りやすいという特徴もあります。

それでいながら、人工知能による競艇の予想はあまり競合がいない。競馬は競技人口も多いためか、人工知能予測がすでにありますが、競馬に比べれば、競艇の予想に人工知能を本格的に取り入れている人は少ないとみています。

競艇の予想データ単体を売り出そうかという案もありました。もしくは、今回の人工知能を仲間内のクローズドで動かして、ガッツリ儲けようなんて話も出たことはあります。

また、ありがたいことに、クローズドの段階で「月にこれくらいの金額で使わせてくれないか」とオファーしてくださった人もいます。

それでもWebサイトとして誰でも扱えるように公開したのは、単なるお金稼ぎのツールとして終わらせるのではなく、みんなに人工知能を楽しんでもらいたい、という思いがあったからです。