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オリンピック 週刊現代

金メダリスト・小平奈緒「所属・相澤病院」に隠されたちょっとイイ話

みなさんご存じでしたか?

平昌オリンピックで見事、金メダルを獲得した小平奈緒選手。その雄姿とともにお茶の間の注目を集めたのは、彼女の所属先だった。なぜ病院なのか。理事長が教えてくれたおカネよりも大事なもの。

 

内定を取り消され…

初めて会った時のことはよく覚えています。彼女は真剣な目つきでこう聞いてきたんです。「先生、スケートのこと知ってますか?」と。きっとスケートはよく知らないけれど、おカネなら出すよというような人のもとでは働きたくないと思っていたんでしょうね。

スケートに対して凛とした姿勢を守っていてかっこいいなと感じ入り、すぐに好きになってしまいました。

皆さんは私が小平を「支えている」と言うけど、支えている覚えなんか全くない。職員として雇用しただけです。

もちろん今回の金メダルについては「幸せな瞬間に立ち会わせてくれてありがとう」と伝えたいですね。

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平昌オリンピックのスピードスケート女子500mで金メダルを獲得し、日本中をわかせた小平奈緒選手。ただ彼女の所属が「相澤病院」と紹介されるたびに「あれ?」と不思議に思った人も多いはずだ。

スポーツ選手の所属先と言えば、広告塔の役割を期待する食品会社や、アパレル、スポーツメーカーが一般的、つまり所属先=スポンサーである。

なぜ必ずしも経営のメリットになるとも思えない病院がスケート選手への支援を決めたのか。祖父が明治41年に開業した相澤病院(長野県松本市)で理事長を務める相澤孝夫氏に話を聞いた。

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小平は信州大学4年生の時、実は一度他の企業に内定が決まっていたんです。ところが3月に急に内定を取り消されてしまった。リーマンショックの影響でしょうね。

本人は大学時代に二人三脚で歩んできた結城匡啓コーチの指導を受けたいということで、地元の長野で就職活動を続けていたのだけれど、なかなか受け入れ先が見つからなかった。そこで我々のところに相談に来たんです。

うちの事務局長から「小平選手から『なんとかなりませんか』というお話が来ていますがどうしますか?」と聞かれた時、正直驚きました。小平ほどの才能と将来性のある若者が、一生懸命にスケートを極めようとしているのに、地元に応援する会社がないなんておかしな話もあるものだ、とね。

私は小さい頃から「医療は利益を上げるためのものではない」と強く父から言われていました。「もし、収益が上がったら、それは人のために使いなさい」というのが父の教えだったんです。

それで「そんなに困っているんだったら、うちで雇えばいいんじゃないの?」と言いました。頑張っている若者を地元で支えるのは当然でしょう。だから実は会う前から雇用することは決めていたんです。

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