対北朝鮮融和ムードが漂う中で、日本政府がすべきこと

たとえばインフラ投資とセットにして…

韓国政府の特使団が平壌を訪れ、北朝鮮の金正恩委員長と会談したことを境に、北朝鮮が対話の姿勢を示し始めている。本当に北朝鮮は、従来の核の脅威を誇示する方針を転換し、米国などとの対話によって体制の維持を図ろうとしているのだろうか。懐疑的な見方が多い。ただ、国連の制裁によって北朝鮮が疲弊している可能性は高い。

これまで、北朝鮮の対話姿勢は、水面下での核開発などを進めるための時間稼ぎになってきた。専門家の間で、今回もそうなるとの見方は多い。一方、北朝鮮を真剣に対話の方向に向けるには中国の関与が欠かせない。

わが国も、それなりの関与が必要だろう。政府は、流れにおいて行かれないような取り組むべきだ。それが、自国の安全保障を高めることにつながる。

米中の関与はどこまで?

今回、北朝鮮の金委員長が対話の姿勢を示したことは、北朝鮮の真意は別にして、国際社会にとって朝鮮半島情勢の安定化を目指すチャンスになる可能性がある。昨年9月に国連安保理が北朝鮮への制裁を採択した結果、北朝鮮はかなり行き詰まっているとみられる。それは、圧力をかけてこそ対話が有効になるという従来の発想がワークしたことの表れといえる。

北朝鮮が、米国に求めていることは現体制の維持だ。過去に2度、金王朝は同様の見解を示したことがあったが、いずれも国際社会との協定は反故にされた。結果的に、北朝鮮にとって核攻撃力の確立を通して米国の譲歩を引き出すことが、体制維持のための手段となってきた。今回もそうなる可能性は否定できない。

最終的には、北朝鮮を核拡散防止条約 (NPT)に復帰させ、原子力関連の取り扱いを国際社会全体でモニターしていくことが求められる。そのためには、中国のコミットメントを取り付けなければならない。中国が金王朝の後見人として経済開発などを支援するのであれば、北朝鮮の暴走を抑えることは可能だろう。

朝鮮半島で米国と直接対峙を避けたい中国は、北朝鮮という緩衝帯を失いたくはない。同時に、中国は北朝鮮が暴走して朝鮮半島全体が混乱し、国内に難民がなだれ込むことも避けたい。

米国がその意に配慮しつつ、利害の調整を図ることが朝鮮半島の安定に欠かせない。米国も中国に貸しを作りたくはない。米中両国の思惑が、今後の朝鮮半島情勢を左右する局面を迎えている。

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