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女帝メルケルついに没落…EU最強国家ドイツに起こった「異変」の真相

崩れるのは本当に一瞬だった

ドイツ国民に広がる「異変」

「ドイツ人は、とても底力のある人たちだ。もし、地球が突然、氷河期のように寒くなったり、感染病のパンデミックに見舞われたりして、人類が危機に陥ったなら、日本人は滅び、ドイツ人は生き延びるような気がする。逆境になって初めて本領を発揮する原始的な生命力のようなものを、彼らはもっている」

「ドイツは、イギリスやフランスほどの階級社会ではないが、日本ほど無階級な社会でもない。上層にはきわめて優秀な人たちがいて、陰に陽にドイツを誘導している。そして、中層をなす大勢の人たちが、真面目に働き、誘導された方向にドイツをしっかり牽引していくという構図だ。これがうまく機能して、戦後の瓦礫のなかから強い国家が育った」

「そのドイツが、最近、なんだかおかしい。みなが『民主主義』やら『人権』を謳いすぎる。政界でも、メディアでも、そして巷でも、現実離れした理想が滔々と語られる。そのくせ、いや、そのためにかえって『言論の自由』が抑圧されている気がする。だから、最近のドイツはなんとなく息苦しい。社会的な制約はどんどん外されていくのに、政治的発言においては、縛りが増えた」

以上は、3月8日発売の拙著『そしてドイツは理想を失った』の「はじめに」からの抜粋だ。

3月4日、総選挙後、5ヵ月以上もかかって、ドイツにようやく新政権が発足した。CDU(キリスト教民主同盟)の第4期メルケル政権である。

選挙前はメルケル楽勝と言われ、第3期と同じくSPD(社民党)との大連立が続くと予想されていたが、ふたを開けてみたら、CDUもSPDも最低の支持率まで落ち込んでいた。

なぜ、国民はCDUにノーを突きつけたのか。ドイツの経済は、絶好調に達しているというのに。

 

この結果に衝撃を受けたSPDは選挙当日の夜に、大連立には加わらず、野に下ると宣言。まさにそのときドイツの組閣をめぐる迷走が始まった。

とはいえこの時点で、女帝とまで言われていたメルケルがSPD抜きの連立交渉に失敗し、5ヵ月以上も政治の空白期間を作るなどということを、誰が想像しただろう。

そして、最終的には、SPDの心変わりによる大連立の復活。EUの覇者ドイツには、間違いなく異変が起こっている。

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