ロボットの操作は簡単であるべき

これまでの「ロボット」はあまりにも男性向きすぎました。今後、ロボットが生活の中に入ってくることは間違いありません。そうなった時、彼らと一番接するのは子供と女性ですから、女性的な視点が必要だと思っています。

例えば、マネキンロボットを製造し、欧州最大のファッションメーカーとコラボレーションしたことがあります。マネキンロボットにセンサーを付け、立ち止まりかけた人に向けてポージングする。これが大評判でした。従業員は、SDカードをマネキンロボットに挿入するだけで簡単に操作することができ、メーカーからの満足度も高かったのです。。

ロボットというと難しい印象がありますが、実際に使う人にとって簡単でなければならない。これも女性に向けたロボットのあり方をイメージした結果と言えるでしょう。

パラダイムシフトに欠かせないのが「要素技術」です。今後どんな方向で技術の進化が起こるのか。私は、2030年くらいには人間と全く違和感なくコミュニケーションできるロボットが出てくると思っています。

大塚寛氏「次のパラダイムシフトを読み取れれば巨大なビジネスチャンスが生まれる」 Photo by Riki Kashiwabara

例えば、日本には「感情認識技術」を研究している企業があります。一般的な音声認識は、それこそiPhoneのSiriのようなもので、これは日本語の辞書と音声認識プログラムがあれば、作ることができる。

「おはよう」と声をかけると、辞書にその言葉が登録されていれば「おはようございます」と返せるわけです。ところが「おはよう」という言葉にも元気の良い「おはよう」のときもあれば、悲しい時の「おはよう」のときもあって、私たちはそれを無意識に使い分けている。元気のない「おはよう」だと「今日は元気がないね、どうしたの?」と言うのが普通の会話です。

今は残念ながらそこまで到達していませんが、目指すべきは「普通の会話」でしょう。感情の認識ができれば、ロボットに対して感じる「冷たさ」も打破できるのではないかと考えています。

単にハードウェアを作り、ソフトウェアを入れて、会話できるロボットを作るのではなく、社会や人間に根ざしたものを作っていくべきでしょう。

次のパラダイムシフトは始まっている

皆さんは、今まさに新たなパラダイムシフトの中にいるのをお気づきでしょうか。いままでキーボードとマウスでやっていたものが、音声に移行し始めている。スマートスピーカーがまさにそうです。

高度な音声認識の要素技術をいかに生かすか。私たちもその研究開発をしている真最中ですが、ひとつはっきりしていることがある。それは、その技術が生み出すプロダクトに「人間味」があるか、ということです。

ただ、これはなかなか容易なことではありません。例えば現在のスマートスピーカーの場合、「今日の天気は?」「はい、晴れときどきくもりです」ってこれ、便利だけどスマホでできますよね。それでは人は笑顔になれません。

ロボットの未来は、感情と、その先にある感性をいかに手に入れるかが、鍵です。そこまで到達してはじめて、本当の意味でAIと人間が共存できる社会になるのでしょう。