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企業・経営 週刊現代

「何度生まれ変わっても入りたい」7つの企業のトップが明かした秘密

こんな会社があったとは…

「お客様が第一」は商売の鉄則だが、それを有言実行している企業は社員のことも大切に考えている。入社した社員がほんとうに幸せな会社はどのようにして作られるのか、気鋭の7社トップに聞いた。

残業「しない」手当で、社員が元気に

『はるやまホールディングス』(岡山市)は、「はるやま」「P.S.FA」などの紳士服チェーンを展開し、グループ合計の店舗数は500以上にのぼる。

「スーツで日本を健康にする」がスローガンの同社は、二期連続の増収増益と好調な業績を上げている。総従業員3000名超を率いるのは、創業者の父から事業を受け継いだ治山正史氏(53歳)だ。

「おかげさまで業績が順調なのも、社員が毎日健康でいてくれるからです。なによりも健康が大事だ、と気づかされたのは東日本大震災のときでした。われわれも40以上の店舗が被害を受け、津波に流されてしまった店舗や半壊状態の店舗もあったんです。

お店は壊れても直せばいい。ただ、人間の命はそうはいきません。お客様や家族が亡くなられ、大きなショックを受ける社員もいました。

われわれが常に目指しているのは、紳士服の販売を通じて、地域になくてはならないインフラ企業になることです。新しい製品の開発や社内のシステム改善を図るときには、必ずこのことを念頭に置くようにしています」

長時間着ていると若干の息苦しさを覚えるのがスーツというもの。だからこそ、快適に過ごせるアイデア商品を販売するというのが、現在の「はるやま」のコンセプトだ。

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「商品開発には基本的に私も携わっています。私は出張が多く、毎日たくさん歩いています。ときには小走りになることもありますが、普通の革靴では走りにくい。そこで、スニーカーの素材をソールに使った革靴を開発しました。

ほかにもニット素材を使い、圧迫感を軽減した『ストレス対策スーツ』を販売しています。ただでさえストレスを抱えながら働いているお客様に、衣服の締め付けによる余計なストレスを感じて欲しくないんです」

社員の健康があってこそ

客だけでなく、社員にもストレスフリーな環境を提供しているのがはるやまHDだ。

長時間労働が社会問題になっているなか、治山社長は残業を「しなかった」社員に月1万5000円を一律で支給する「NO残業手当」を導入。結果、社員の平均残業時間は14%減少し、以前よりも社内の雰囲気が良くなったという。

「早く帰って家族と一緒に過ごし、ゆっくり休むことで、翌日もさわやかに働いてほしいと思ったんです。もともと残業時間は少なくなるように業務改善していましたが、店舗によっては遅くまで働く従業員もいました。

とはいえ、残業時間が売り上げに結びついているわけではありません。業務時間内に売り上げを達成する店舗がある一方で、残業をしていても達成できない店もあります。

その結果、社員のあいだで不公平感が出てしまった。それを解消するために『NO残業手当』を設けました。

この制度の導入にあたり、『私はもっと働きたいんです!』と言う社員もいました。

たまには無理もいいかもしれません。ただ長時間労働が習慣になり、社員自身の身体が蝕まれてしまっては元も子もない。納得いかない社員には、丁寧に導入の意図を説明して理解してもらいました」

 

経営的に多少の痛みをともなっても、社員の健康な生活があってこそ、よりよい商品や接客が提供できると考える治山社長。働きやすい環境を作るだけでなく、利益が上がれば社員に還元することも大切だと言う。

「はるやまHDは、経常利益の25%をボーナスの原資とすることを明示しています。だから増収増益を達成するためにボーナスをカットすることはできませんので、われわれ経営陣の気持ちの引き締めにもなっています。

感謝の気持ちと社員のご家族への配慮は大切にしていて、ボーナスを支給する際は、社員のご家族宛に手紙を書くこともあります。ボーナス支給後に店舗に行くと、『社長、こんなにもらっていいんですか! カミさんが大喜びでした』と言ってくれる社員もいました。

やはり、社員に利益をしっかりと還元することが、お客様の喜びにもつながると考えています。社員の生活の安定なくして、いいサービスは提供できない。接客の仕事はスタッフの心身に余裕があることがいちばん大事だと思います」

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