「生産性革命」「働き方改革」が声高に叫ばれる昨今だが、いったい何をどうしたらいいのか? 残業を減らそうと、夜間にオフィスに残る社員のお尻を叩いてみたり、有給休暇取得を呼びかけてみたり…。試行錯誤しているビジネスマンはきっと多いことだろう。

しかし、ITの実務を長年取材してきた筆者が見るに、ビジネスにおける「改革」のキーファクターとなるのは、やはり情報通信技術(ICT)だ。

うまくアプローチすれば、単に労務管理システムやテレワークなどにとどまらず、ビジネスの「中身」までICTで変革することで、業績も社員の満足度もアップさせることができる。しかも、その効果を最大化できるのは大企業よりも、身軽で小回りが利く中小企業なのである。

今回は、ある中小企業の実例を通して、ICTを利活用したビジネス・働き方改革の「ツボ」を探ってみたい。

一見、普通のクリーニング店だが…

福岡市の西鉄福岡(天神)駅から2つ目、西鉄平尾駅の周辺には、ごく普通の中層オフィスビルやマンションが建ち並んでいる。その一角、あるマンションの1階に「クリーニング」の大きな看板がかかっている。

一見、24時間のコインランドリーを併設した何の変哲もないクリーニング店だ。看板の中央に配された「raccoon」(アライグマ)のロゴが、店の名前だろうと見当がつく。

地元では「染み抜きがうまい」「衣類や装飾品のリサイクル・リフォームの相談にも乗ってくれる」と、普通のお店としてもなかなかの評判だ。だが、この「raccoon」が全国初のデリバリー型クリーニングのパイオニアであることは、ほとんど知られていない。

さらに言えば、この「raccoon」を運営する企業「トゥトゥモロウ(To Tomorrow)」が、新潟・埼玉・東京・千葉・兵庫など全国にフランチャイズ(FC)店を展開し、オンラインのクリーニングサービスを牽引するIT企業としての顔も持っていること、そのシステムの根幹を支えるWebアプリケーション「Sooowda!」(ソーダ!)が、「クリーニング業界に革命をもたらす」ものとして注目されていることは、近所の主婦たちは、おそらく誰も気づいていないだろう。