世界で高まる「米国金利上昇」への警戒感

新興国の通貨動向をみてみると…

米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)は、物価が上昇しやすくなっているとの見方を示し、過度な低金利環境の正常化を進めようとしているように見える。それに加え、トランプ大統領が1兆5000億ドルに上るインフラ投資計画を示したことが、米国でのインフレ懸念を高め、金利が上昇してきた。

2月の米国株式市場の展開を振り返ると、主要企業の株価推移を示すS&P500指数は月間で3.9%下落した。この下落率は2016年1月(月間で5%下落)ぶりの大きさだ。米国の株式市場でバブルが発生しているとの見方を示してきた経済の専門家も多い。金利上昇を警戒して株式を売却する動きは今後も続く可能性がある。金利の動向次第では世界的にリスクオフが進むことも考えられる。

FRBの狙い

米国経済は、労働市場の改善を中心に拡大基調にある。過去の景気循環に照らすと景気のピークが近づいているとの警戒感もありはするが、全般的に経済は安定している。少なくとも、短期間で景気が悪化し、リセッション(2四半期続けてGDP成長率がマイナスに落ち込む状況)入りする可能性は低そうだ。

FRB関係者の発言などを見ても、経済への自信が節々ににじんでいる。1月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、経済への評価が引き上げられた。特に重要だったのがパウエル議長の議会証言だ。大方のエコノミストがイエレン前議長の考えを踏襲すると見ていたようだが、新議長の見解は従来に比べて景気への強気な見方を含んでいた。

 

FRBは景気への自信を示し、先々の利上げ可能性を示唆することで、理論で正当化することが困難な低金利環境を正常化し、景気の過熱を抑えたいのだ。10~12月期の米国の実質GDP成長率は前期比年率ベースで2.5%だった。すでに消費者物価指数が2.1%に達していることを加味すると、長期金利は4%以上の水準にあってもおかしくはない。それに比べ、現状の長期金利の水準は未だに低い。

見方を換えれば、これまでFRBが低金利環境を重視して景気の回復を優先したことが、株式などのリスク資産への資金流入を支えた。それが1月末までの株価上昇を支えたのである。FRBは“債券バブル”と呼ばれるほどの低金利環境を是正し、景気の軟着陸を目指し始めたと考えられる。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら