写真・ロイター/アフロ
中国

春節番組「黒人差別」問題に見る中国人の「哀しき優越感」

「いびつな大国意識」と言うべきか…

今年もやってしまった

このほど閉幕した平昌冬季五輪の間、何度か会社近くのホテルに泊まることがあった。朝食の時間になると、レストランは中国語を話す老若男女で混み合い、臨時に用意した部屋もすぐに埋まるほどだった。

春節(旧正月)で毎年2月ごろになると大勢の中国人が日本へ観光へと訪れるのは、正月休みを終えて日常生活を送っている我々にとってはうらやましくもあるが、中華圏に残るこの独特の習慣は、彼ら観光客によって日本でも身近になってきたと言えるだろう。

この春節(今年は2月16日)の前日の晩、つまり旧暦の大晦日に中国の国営テレビ、中国中央電視台(CCTV)が放送する大型番組「春節聯歓晩会」(春晩)は日本でもネット中継されるようになるなど、全世界の華人で知らない人はいない番組だ。

歌や踊り、さらには「小品」と呼ばれるコントなど、次から次へと様々な演目が登場するが、最近では政治色、宣伝色が強まり、春晩離れも進んでいると言われる。

上海近郊に住む友人も、「最近は見ていない」、管理が厳しくなって「吐槽」(ツッコミ)もできなくなったからだと語った。

「春晩吐槽」というのは春晩のあら捜しで、以前もあるコントが日本のお笑い芸人のネタのコピーだったことが暴かれるなど、中国のソーシャルメディアでは春晩をからかうのがネット市民のもうひとつの楽しみ方だった。

ところが、この2018年から、国家版権局は無許可で春晩に関連した番組の放映を禁止、ネットでの引用やパロディができなくなったとの報道があった。合わせて微博などでも、「春晩吐槽」が禁止され、ネットでこの言葉は検索禁止ワードになったという。

だが、今年の春晩でもやはり問題が起こった。アフリカを扱ったコントが「人種差別的」として国内外のメディアを巻き込んだ議論の的となったのだ。

 

黒人に扮し「我愛中国!」

このコントは「同喜同楽」(ともに喜びともに楽しむ)という13分ほどの寸劇で、昨年ケニアに中国が建設した「モンバサ―ナイロビ鉄道」をテーマに、「中非(中国とアフリカ)友好」を賞賛したものだが、この中で中国人女優が黒人に扮したことが問題となった。

主な内容は、同鉄道の女性乗務員を現地で指導するイケメン中国人「老師(先生)」が、同僚の中国人女性と現地で結婚式を迎える当日、ある女性乗務員から「母親から結婚するよう迫られているが、自分はまだ18歳なのでまだ結婚したくない、中国に留学したい」と言われ、母親の前でこの乗務員の婚約者のふりをするが、本当の結婚相手やその兄が現れ、四苦八苦するというものだ。

最後には母親は娘の留学を許し、中国はアフリカの恩人だとして「我愛中国!」と叫ぶ。

この母親は中国人が演じていたが、顔を黒く塗り、しかもお尻や胸を極端に大きく見せ、頭に果物の入った大きなカゴを載せ、お尻を振りながら登場する。

そして後ろには大きな猿のペットが付いてくるが、この着ぐるみの中に入っていたのはアフリカ人だったという。

その後登場する中国人男性はキリンを引き連れていたが、これは「アフリカのシェアバイク」だと笑いを取るなど、アフリカ=遅れているとのステレオタイプを強調するような表現がたびたび登場する。

この造作について、黒人に扮することを意味する「ブラックフェイス」だとして、欧米のメディアから批判が上がった。

言うまでもなく、顔を黒く塗るなどして黒人の真似をし、パフォーマンスをすることは、人種差別だとしてタブーになっている。

筆者もこの問題をSNSなどで指摘したが、これに対して中国人の知人は「日本人でもやっているでしょう!」と、お笑い芸人が黒人俳優エディー・マーフィーに扮して問題になった画像を貼り付けた。

中国当局も同じような受け止め方だったようだ。外務省の報道官は22日、この問題についての西側メディアの報道を見たとし、「中国は人種差別に一貫して反対している。この問題にかこつけて中国とアフリカに不和をけしかけようとするのは無駄なことだ」と反論した。

中国国内でも「人種差別ではない」「ただのコントにすぎない」という声が多かった。

ただ中国ではこれまでも、メディアでの黒人差別が問題になっている。

有名な事例は2年前、ある洗剤のコマーシャルで、女性が汚れた服と黒人の男性を一緒に洗濯機に入れて洗うと、色白の中国人男性が出てくるというもので、今回以上に露骨な内容だったが、中国国内ではあまり大きな反応はなかった。