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アメリカ経済は本当に「加速度的なインフレ前夜」なのか

FRB議長の議会証言への「ある疑問」

パウエル議長の議会証言

2月27日、注目のパウエル新FRB議長の議会証言が行われた。

パウエル新議長にとっては、公の場での発言はこれが初めてである。そのため、慎重な物言いに終始すると思われていたが、筆者の印象では、米国経済に対する強気の見通しとそれを背景にしたFRBのタカ派的な金融政策スタンスをかなり明確に打ち出してきた。

現時点では、3月20、21日のFOMCでの利上げは規定路線、2018年中の利上げが計4回になる確率が上昇したということであろう。

このパウエル新議長の議会証言をうけて、米国マーケットでは、ドル高、株安、金利上昇となったが、これは、金融引き締めの初期から中期段階への移行期にみられる典型的な現象ではなかろうか。

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今回のパウエル新議長の議会証言を聴く限り、FRBの金融政策スタンスは、出口政策というよりも引き締め政策、すなわち、将来の景気過熱とインフレ懸念に対する予防的な措置という色彩を強めてきたと思われる。

出口政策は、失敗による経済の再失速(もしくは再デフレ化)を回避するために、慎重に行うべきというのが鉄則である。従って、「正常な」経済状況下での「フォワードルッキング(Forward-looking)」な金融政策とは異なり、再デフレのリスクが完全に払拭されたことを確認してから緩やかなペースで出口政策を行うのが正しい方法である(バックワードルッキング(Backward-looking))。

だが、パウエル氏は、むしろ、今後は、FRBが経済の過熱(及びその結果としての資産市場のバブル化)への対応の遅れを懸念し、早めに政策を打ち出していくべきだと発言した。これはどちらかというと「フォワードルッキング」な政策志向ではないかと考える。

 

もし、米国が「加速度的なインフレ前夜」の状態であれば、パウエル新議長の金融政策論は概ね正しいことになる。そして、このタイミングで大型減税とインフラ投資を打ち出してきたトランプ政権の財政政策は「蛇足」ということになる。

しかも、政府債務の拡大が懸念されるような拡張的な財政政策と金融政策の引き締めというポリシーミックスは、金利の急上昇と経済の停滞をもたらしかねない(これは、1980年代初めの「レーガノミックス」の帰結である)。従って、この金融政策と財政政策の組合せは、まずは、ドル高、金利高、株安の動きを強めていくと思われる。

いわゆるマーケットの「クラッシュ」はその後に起きるだろうが、この点については今回のテーマではないので省略する。

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