防衛・安全保障 日本 アメリカ

なぜ米軍沖縄海兵隊の事故対応は年々「劣化」しているのか

元海兵隊関係者の考察

事故だけではなく事故後の対応が問題

2月初旬に沖縄県名護市長選で保守系候補が当選した。普天間飛行場の移転問題にとっては良い結果となった。

それゆえ、沖縄の基地問題は、地元感情が緩和する方向に向かっているように見えるかもしれない。しかし、そう簡単ではない。むしろ、ますます深刻になっているといっていい。

いうまでもなく、直前までさまざまな事故が立て続けに起きたことが大きい。それだけではない。その事故への対応がさらにまずく事態をこじらせている。

最近、頻発している事故についても、今、海兵隊が、あるいは米軍全体が、朝鮮半島有事で繁忙と緊張の極みにあることが原因、という説明が広がっている。

しかし、有事だからといって、問題の本質を見誤るわけにはいかない。誤解どころか、誤魔化しているのではないか。

海兵隊の繁忙度が特に上がっているのは冷戦終了後から始まっていることだ。予算が限られている中で、任務が爆発的に増えている。その意味で陸上自衛隊の状況と似ている。だから事故頻発ということだけを取り上げても、朝鮮半島有事ということでは理由の説明としては不十分だ。

さらにいえば、米軍と現地の関係悪化の一番の原因と筆者が考えている、事故後の対応全体がまずいことの説明にはならない。

 

事故にはさまざまな側面がある。整備の問題、欠陥の問題、人的問題、管制の問題、あるいは気象の問題などで、必ずしも人間がコントロールできるとは限らない。

しかし、事故が起きてからの対応は、すべて人間がコントロールすることだ。丁寧な対応は、その気になればできる話だ。これこそが今、うまくいっていないことなのである。

この問題は、以前から深刻だった。2016年12月13日に起きたオスプレイ不時着水事故を振り返ってみたい。

この事故は空中給油の訓練中に発生したものだった。つまり、沖縄などのメディアがよく批判する「欠陥機」ではない。

給油ホースが接触してプロペラが破損。基地に緊急に帰還するために、沖縄県民と深い交流のあった女性操縦者は、あえて民間地の上を飛ばず、最北の辺戸岬を回って南に向けて海岸沿いで飛んだ。

故障のまま遠回りのため、力を失い、あと僅かの距離で海に着水した。この操縦者をはじめ、乗務員に怪我が負ったが、住民の被害はなかった。しかし、直後の海兵隊の初期対応がまずくて、近隣の住民や県庁に不信感を抱かせることになってしまった。

結局、第3海兵遠征軍司令官で沖縄での米軍のトップである4軍調整官が、知事に対してだけでなく、住民に対して謝罪しなければならない状況になった。

そこで住民に対し、事故の後のしっかりした清掃(現状回復)、さらに、事の原因の公表を速やかに行うことなど、いろいろ約束した、と言われているが、私はその約束が、守られていないということを事故後の現地取材で知った。

その結果、もともと米軍に対して好意的な住民たちを反対側に追いやってしまった。現地で話を聞いて回ったが、保革の比率が逆転したとまでとの報告を受けた。

米軍は敵を作るのは非常に上手だ。本来なら海兵隊は、敵に対しては強烈、味方に対しては最大の友であるべきだ。しかし、この3年間、特にこの1年余り、味方は激減しているらしい。

有事のことを重視する人は、この敵に対して強烈であることに重きを置き、友に対する部分を軽く見てしまっている。これは、基地反対の人々のいう、「軍事優先」の典型的な考え方だ。これを続ければ、反対の人だけではなく、中立や支持者でさえ、離れていく。

事故だけではなく、事件も同じことが言える。本来、基地と関係がなかった人は、何かの事件や犯罪に巻き込まれて、その後、日米両政府、基地、あるいは、地位協定という高く厚い壁に遭い、速やかに解決どころか対応さえもされなければ、不快感が増すのは当然だ。

政府はもちろんだが、あえて言うと、基地の関係者こそ、その同情を持つべきと思い、その精神で仕事を取り組んでいた。

実は、これは私にとって「仕事」ではなかった。日米沖関係の重要性を強く意識した者としての「使命」だった。沖縄で勤務できるようになったのは、いい意味で運命だった。今、仕事されている日米の関係者は、同じ使命感を持って取り組んでほしい。

安定していなければならない基地の周辺で、特に同盟国で事故が起きたとき、地元との関係を維持するために求められるのは、誠意と透明性だ。それが実施されてなかったのだ。

新生・ブルーバックス誕生!