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AV女優になるため整形。風俗から抜け出せない「元女子大生の現実」

地味なタイプの女の子がなぜ?

貧困と奨学金問題に深く切り込み話題を呼んだ著書『女子大生風俗嬢』から2年。前回インタビューした、元女子大生風俗嬢の山田詩織さん(仮名)は、卒業後に支払わなくてはならない奨学金の返済金が600万円にも及ぶことを知り、内定を蹴ってAV女優になる道を選んだ。そのおかげで返済金は減ったものの、尽きない将来への不安から体調を崩し、現在は自宅療養中だという。

今回、3年ぶりに筆者のインタビューに答えてくれた宇野未来さん(仮名)は会って早々に「明後日、整形をする」と語り始めた。学費や生活費を稼ぐためにやむなく風俗嬢となった彼女は、その後どんなことを思い、いままで暮らしてきたのか…。最新ルポ。

 

大学なんて行かなきゃよかった

「明後日、整形手術するの。まず目を二重にして、鼻にプロテーゼを入れて高くするんです。整形はお金のためです」

宇野未来さん(仮名、23歳)は、自信満々にそう言う。3年前、関西地方にある女子大在学中に取材したときは、年齢相応のあどけなさが残っていたが、現在は、いかにも風俗嬢といった雰囲気を纏う。本人にはとても言えないが、正直、風俗嬢として人気を得る容姿だとは言い難い。

宇野さんは母子家庭で育ち、高校時代は児童養護施設に保護されている。母親は生活保護を受けており、大学の費用を負担するお金はなかった。進学を希望していた彼女はソーシャルワーカーの薦めで、ある財団から入学納入金40万円と日本学生支援機から有利子の第二種奨学金を借りて大学進学した。

日本学生支援機構とは、2004年に日本育英会から改組した独立行政法人で、学生が進学する際に担保や審査なく奨学金を貸している。改組をキッカケに原資を財政投融資にしたことで利益を追求する金融事業の色が濃くなり、「取り立て」も厳しく、最近は奨学金による自己破産が問題視されている。

朝日新聞によれば、過去5年間の自己破産者の数は延べ1万5000人で、その半数近くが親や親戚が保証人だという。返済義務のある奨学金を借りたことにより、債務者本人だけでなく、親族にまでその余波が広がっているのだ。奨学金は住宅ローンのように担保があるわけではないので、返済に滞ると即破綻となる。

親からの援助が一切ないまま私立大学に進学した宇野さんは、姉の部屋に居候しながら大学に通った。入学後すぐに経済的な限界を感じ、大学1年生の夏から大阪の歓楽街にある店舗型ヘルスで働いた。その後は卒業まで関西圏にある風俗店を転々としながら、大学生生活を送った。

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「大学から紹介された医療法人に就職したけど、給料は安いし、仕事はつまらないし、半年くらいで辞めちゃった。それで、すぐに風俗に戻った。400万円くらいの返済が残っている奨学金のことは、もうそんなに気にしていません。毎月返済の手紙がきて、返すのが面倒くさいくらいなもの。結局、風俗嬢になるなら、大学なんて行かなきゃよかったよ。

一度だけ大卒者限定の大手企業の派遣社員に採用されたことがあったけど、今のところ大卒のメリットはそれくらい。今は、彼氏に面倒をみてもらってニート。もともとは風俗の客だった人です」

父親は宇野さんが3歳のときに病死し、母親、5歳年上の姉と3人で暮らす母子家庭になった。看護士だった母親は日勤、夜勤をこなし、父親がいなくなった家庭を支えた。しかし、彼女が小学生のときに、大黒柱だった母親の体調が崩れ始めた。ヒステリーを起こしたり、急に暴れたりするようになり、医者から統合失調症と診断された。

「母が病気になって、もう15年くらい経ちます。母親の統合失調症に私の人生の大半を付き合わされた感じ。本当に最悪。

母親は日常的に独り言を繰り返して、ちょっとでも気に障ることがあればすぐに騒ぎ立てる。学校で必要な支払とか、お金の話をすると必ず大暴れ。だから教科書代や交通費が必要でも、なるべくお金のことは言わないようにした。

当初、病気のことは家族以外の誰も知らなかったけど、だんだんと悪化していって最終的には働けなくなったんです。それで10年くらい前から生活保護を受けるようになって。正直、いないほうがどんなに楽かって思ってしまう」

月50万くらい稼いでいたが…

中学生のときは、荒れる家庭にひたすら我慢した。高校進学のときに母親は働けなくなり、生活保護の受給が決まった。宇野さんは児童相談所に保護されて、児童養護施設に送致となった。施設にいた当時のことを聞くと顔歪めて「あの頃のことは、思い出したくない」という。

「施設にいる子たちとはまったく合わなかった。無視とか物を隠されるとかイジメもあったし、ただただ鬱陶しかった。どうして私がこんな目に遭わなきゃいけないのって母親をすごく恨んだけど、病気だから仕方がないと諦めた。

施設を抜けだして彼氏の家に泊まって帰らなかったり、出会い系で知り合った人の家に行ったりを繰り返した。脱走まがいなことも何度かした。

私の家庭環境と生活環境は複雑だから、学校の同級生は頼りにならない。話しても理解できないし、されない。だから出会い系サイトで話を聞いてくれる大人を探した。でもそのときは売春していないです。ご飯をご馳走になったり、泊めてもらっただけ」

いずれは児童養護施設を出なければならない。この状態のまま社会に出ても自立できるとは思えなかった宇野さんは、大学進学を目指した。

親がいない子供に入学納入金を貸してくれる制度と、日本学生支援機構の奨学金をソーシャルワーカーに薦められて、言われるままに契約した。一人暮らしをしていた姉の家から大学に通うということが認められたのを機に、児童養護施設を退所した。

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