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政治政策 社会保障・雇用・労働

国会の「働き方改革」の議論こそ、生産性の低い仕事の典型だ

無駄な話にこんなに時間を使うとは…

紛糾の経緯

裁量労働制に関する安倍晋三首相の答弁を巡って国会が紛糾している。きっかけは1月29日の衆議院予算員会で、安倍首相が「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも(裁量労働制で働く人の方が)短いというデータもある」と発言したことだった。

その後、野党の指摘で、調査方法の違う2つの結果で、単純には比較できないデータだったことが発覚、安倍首相は答弁を取り消した。これに対して、立憲民主党や希望の党などが政府の答弁は不十分だとし、2月19日の衆議院予算委員会を途中で退席する事態に発展していた。

2月20日の予算委員会では安倍首相が改めて「結果として性格の異なる数値を比較していたことは不適切であり、私からも深くおわびする」と謝罪したが、野党側は「捏造ではないか」「無責任だ」などと批判を繰り返した。

もともと首相の答弁は、厚生労働省が準備した答弁案をベースに行われたと安倍首相自身が答えている。裁量労働制の適用範囲を拡大する労働基準法改正を何とか通したい厚労省の官僚からすれば、都合の良いデータを示すことで説得力を持たせようと考えたのだろう。

今回のように別々の調査で手法が違うものを2つ並べて比較するのは、官僚の仕事としてはあまりにも出来が悪いが、都合の良いデータだけを抜き出して説明に使うのは霞が関の常套手段だ。役所から上がってきた「都合の良いデータ」に安倍首相が飛びついてしまった、というわけだ。

2月20日の予算委員会で安倍首相は「詳細を把握しているのは厚生労働大臣で、私は予算案について答弁する責務を負っているが、すべてを私が把握しているわけではない」と半ば開き直っていたが、これも無理ないところである。野党もそうした齟齬が生じることがあるのは百も承知だ。

ところが、野党側は鬼の首を取ったかのごとく首相を攻め立てている。首相官邸から指示をして都合の良い数値を捏造させたのではないか、あるいは、官邸への忖度によって改ざんが行われた、と執拗に批判している。裁量労働制の拡大を法案から除外すべきだ、といった主張まで飛び出している。

 
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