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国際・外交

斉藤ウィリアム浩幸氏に「国家機密」横流し疑惑

「霞が関のショーンK」もう一つの顔

米国の有名大学を出たと自称して、政府要人とも近しく付き合いながら、国家機密にも触れてきた―そんなスーパーエリートの化けの皮がはがれた。

週刊現代3月3日号でジャーナリストの森功氏が、「霞が関のショーンK」の疑惑の足取りを追っている。そこで見えてきた、驚愕の真実とは――。

大臣たちもだまされた

日本の政府や企業を危機にさらしかねない重大問題なのに、なぜか騒がれない。そう感じるのは、私だけではないだろう。

元内閣府参与、斉藤ウィリアム浩幸の経歴詐称である。旧聞に属するが、きっかけは昨年12月9日のYahoo!ニュースだ。個人投資家でブロガーの山本一郎が「紺綬褒章、ダボス会議、経産省参与。斉藤ウィリアム浩幸氏の虚像と嘘」と題した記事を載せ、関係先が大慌てした。

それまで斉藤本人がブログで公表してきた経歴をかいつまんで紹介すると、1971年カリフォルニア生まれの日系2世で、UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)医学部を卒業。在学中に起業し、その会社を米マイクロソフト社に売却して大儲けしたとか。

東京電力福島第一原発の国会事故調査委員会でCTO(最高技術責任者)として参加し、民主党政権時代の国家戦略室の委員を務め、第二次安倍政権発足後の'13年からは内閣府の参与や経産省参与を拝命し、'16年には紺綬褒章まで受章している―。

 

自称サイバーセキュリティの専門家であり、内外の名だたる企業や団体の役員に就任し、顧問契約を結んできた。特定非営利活動法人「日本医療政策機構」理事、公益財団法人「九州先端科学技術研究所」研究顧問、「シンガポール科学技術研究庁」顧問、「博報堂DYホールディングス」や監査法人「PwCジャパン」のアドバイザー、「ファーストリテイリング」アドバイザー、昨年にはJAL(日本航空)の執行役員として招聘されている。

ところが、その華やかな経歴の重要な部分が真っ赤な嘘だったのだから大変だ。当の斉藤はすぐさま白旗をあげた。12月21日付の自らのブログで、UCLA医学部を卒業したわけでも医師免許を取得したこともない、と白状する。国会事故調ではCTOどころか、単なるコンピュータシステム部門の担当だったという。

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〈このような肩書を用いることが適切といえたかと問われると、軽率だったと反省しています〉

そう謝罪し、内閣府や経産省参与、企業・団体の役職をことごとく辞任した。それを受けた経産大臣の世耕弘成は12月22日閣議後の記者会見で次のように述べた。

「これまでサイバーセキュリティ関係の国際会議の企画などに際して、海外有識者の人選ですとか、招待状の発出などに御尽力をいただいてきたところであります。先日、一身上の都合ということで、辞職の申し出がありましたが、我々としても仕事には一区切りがついておりますので、それを受理しました」

斉藤が参与として特定の機密に接する機会はなかったと言い、政府のセキュリティ上の問題はないと弁明した。だが、それで済ませていいのか。

経歴詐称といえば、元テレビコメンテーターのショーンKの姿が蘇るが、斉藤は参与という準国家公務員として、ときの政権にアドバイスし、政策の決定に関与してきた立場だ。そんな要職にある人物の氏素性が違っていたという話なのである。

そこで改めて取材してみると、新たな事実が発覚し、疑惑も浮上した。この経歴詐称事件はこのまま忘れ去られていい問題ではない。

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