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人口・少子高齢化 学校・教育 週刊現代

少子化が進む時代、大学院なんか行ったら人生終わるかもしれない

教授、准教授も2030年に半分クビ?

9割が定職につけない

「教授のポストより、さらにその下のポストが激減していることが大きな問題です」

こう語るのは、人間環境学者で『高学歴ワーキングプア』の著作もある水月昭道氏だ。

「昔は、1つの教授のポストに対して、准教授のポストが2つ、さらにその下には講師のポストがあり、その下には助教(助手)のポストもあった。

下の階層になればなるほど定員が多く、年を経るにつれて徐々に上のポストについていくという、研究者の雇用システムがありました。

ですが、いまは大学の常勤ポストはどんどん減らされている。昔は教授まではなれなくても、准教授や常勤講師として研究ができていたのが、大学側のコスト削減のあおりをうけて、もはやそれすら叶わないのです」

 

かねてから問題視されてきたポストドクター(大学院で博士号を取得後、任期のある仕事についている研究者のこと)の雇用問題は、悪化の一途を辿っている。

昨年8月、文部科学省と科学技術・学術政策研究所が、ポスドクの就業状況についての衝撃的な数字を発表した。

資料によれば、'15年度におけるポスドクの延べ人数は1万5910人で、平均年齢は男性が36歳、女性が37歳。

そのうち、任期満了の翌年に常勤教員のポストにつけた人数は1490人と、わずか1割未満しかいない。裏を返せば、約9割が、定職につけぬ不安のなかで研究を続けているのだ。

「研究の世界は、30代半ばまでは当然のように若手として扱われ、下手したら40歳近くでも若手扱いされます。一般企業に就職していたら中間管理職になっていてもおかしくないこのくらいの年齢から、別の道を探すのは非常に厳しい。

ただでさえ、大学院卒は給料が高くて企業側が避ける傾向があるのに、民間企業へ途中から転身することは困難をきわめます」(前出・水月氏)

実際、一般企業の博士号取得者に対する評価は冷ややかだ。

「会社の事業内容に直結する研究をしている院生は引く手あまたですが、関係がないのなら、こちらには採用するメリットはない。どうせゼロから教育しなきゃいけないのなら、変なプライドもなく、給料が安い新卒学生をとるほうが合理的でしょう」(大手家電メーカー採用担当者)

常勤ポストの減少は、国立大学も例外ではない。国立大学の法人化以来、国からの運営費交付金は毎年1%ずつ削減されており、現在までで総額約1200億円以上がカットされている。

文科省から経営上の「自助努力」を求められている大学の執行部にとって、人件費の大部分を占める常勤教員のポストはコストカットの格好のターゲットだ。
国立大学の理系学部で教える教授が言う。

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「政府の関係者に会うたびに、国立大学への予算を増額するよう意見するのですが、『国にもおカネがなくて……』と苦笑いされて終わりです。

カネがなくて常勤のポストが用意できないというなら、せめてポスドクが高校の教員になれるキャリアパスを整備するとか、官庁が積極的に博士人材を登用するとか、彼らの働き口を創り出す工夫をすべきですが、現状では、ポスドクは国から見殺しにされている」

減少を続ける大学の常勤ポストの穴を埋めるように急増しているのが、非常勤講師だ。

「現在、私立大学で開講されている科目のうち、実に50~70%が非常勤の教員が受け持つ授業とされています。とてもじゃありませんが、常勤教員だけで授業を回してはいけない。実質的に非常勤講師が大学を支えていると言えるのです。

ただ、非常勤講師の給料は1コマ数千円程度で、生活できるような給料はもらえない。みんな、いくつもの大学で掛け持ちしたり、塾講師と兼任したりして、糊口をしのいでいます」(前出・水月氏)