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オリンピック フィギュアスケート

祝・宇野昌磨銀メダル!魔術師のようなその魅力を取材記者が解説

8年がかりで叶えた夢

小6で「オリンピックに出たい!」

宇野昌磨が初めてオリンピックを強く意識したのは、8年前、バンクーバー五輪を見た時だという。

「僕の一番好きな髙橋君(髙橋大輔)とプルシェンコさん(エフゲニー・プルシェンコ)が出たオリンピック……バンクーバーを見て、『僕もオリンピック、絶対出たい!』って思いました。それまでもオリンピックを目指す気持ちは少しあったけれど、ほんとに強く『出たい!』って思ったのは、やっぱりバンクーバーの時。

4年に一度の、あのすごい緊張感のオリンピック。あそこで自分がどこまでできるか挑戦してみたいな、って思ったんです」(2010年のインタビューより)

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オリンピックに、出たい。その気持ちだけならば、たくさんの選手が口にする。しかし小学6年生でこの場の緊張感を想像し、自分をその場に置いてみようとする選手は、めったにいないだろう。今、振り返れば、ここまで具体的にオリンピックを見つめていたことが、彼の道のりを切り開いたのかもしれない、と思えてしまう。

20歳、初めてのオリンピック。まずはショートプログラム。

いつもは冷静な宇野昌磨が、ちょっと昂ぶっていたのが印象的だった。

この人はよほどのことがない限り、試合で過度の緊張はしない。14―15年、初めて4回転を跳べるようになったシーズンは、「試合で4回転を挑戦できること、わくわくしています」

同じ年、シニア初のチャンピオンシップデビューの時には、「全日本の最終グループのほうが緊張しました」。15‐16年、グランプリシリーズデビューの年も、「緊張はしたけど、ほんとうの緊張感はこんなものじゃないです。絶対優勝と言われた世界ジュニアに比べれば、ぜんぜん」

 

どんな大舞台を前にしても、試合を楽しむこと、これまでの経験を引き合いに冷静になることができる。その宇野昌磨が、さすがにオリンピックの空気には興奮してしまったようだ。

演技後にあれだけ大きなガッツポーズが出ることも、最近はあまりなかったと思う。今大会と同じように、4回転フリップとトウループをショートプログラムで成功させた今季初戦、ロンバルディア杯などでは、「4回転フリップと4回転トウループ、どちらも難しいけれど、成功確率の悪くないジャンプです。両方を成功できて、去年だったらガッツポーズしてる演技でしたね。でも今年はもう、そこまで喜べない」などといっていたはずなのだが。

シーズン半ばは納得のいく試合がなかなかできず、ここでどうしてもパーフェクトなショートをしたかった、その気持の強さもひしひしと感じた。