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週刊現代

作家・群ようこさんが断捨離の過程で体験した「思いがけない展開」

後悔はなく、今はスッキリ

入居20年目の大掃除

―新著の『かるい生活』は『ぬるい生活』『ゆるい生活』に続くシリーズ3作目のエッセイ集。還暦を過ぎ、要らなくなったモノを次々処分していく群さんの日々が、ゆったりとした筆致で綴られていきます。

ベランダも家の中も、モノが溢れかえっていたから、ずっと気になっていたんです。何とかしなくては、とは思いつつ、大きな物が多くて簡単には片付けられない。とはいえ、70歳を超えると体力的な問題も出てくるし、自力での大規模な不要品整理は難しくなってくる。そうすると人の手も借りなければいけなくなるし、お金もかかってしまう。

そこにちょうどマンションの大規模修繕工事の時期が重なり、ベランダを片付けなければいけなくなった。「これは一気にやるチャンスだ!」と。入居20年目にして初めて大々的な片付けをしてみました。年齢的に、ギリギリのタイミングだったと思います。

―いざ実際にモノを捨てようとするといかに困難かが、痛いほど伝わってきました。

引き出しなどにしまってあるぶんにはそれほど感じなかったけれど、選別のためにすべて出してみると、肌着や下着のような小さなものでさえ結構な山になってしまって、ちょっと放心してしまいました。「ああ、こんなにものがあったなんて……」と。それに洋服類は、捨てようとするたびに購入した時の金額が頭をもたげてきて、一旦捨てては袋から取り出しての繰り返しでした(笑)。

そのうちクローゼットが空いてくるのが快感になってきて、洋服はどんどん捨てられるようになったのですが、問題は本や雑誌でした。いつか読むかもしれないとか、資料として役立つかもしれないとか考え出すと、なかなか処分できない。

でも、年齢を考えると、これから先、資料を読み込むような仕事がどれだけできるのか、ということもある。最終的には、全集や絶版になって手に入らない書籍以外は、意を決して処分しました。蔵書の8割がたは処分したと思います。

―思い切って処分をしてみると、心境の変化があったそうですね。

不要品をまとめて処分した直後は「なんて清々しいんだろう!」と思ったんです。部屋の掃除もとても楽になった。でも1週間も経つと、「まだ物がある」と思うようになり、「何とかしなくちゃ」という気持ちが湧いてきます(笑)。いまではすっかり、何か捨てる物はないだろうか、と考えるようになりました。

人間関係のしがらみも捨てて

―モノの処分と同時に、ご自身の体を「かるく」していく様子も書かれています。週1回続けられている漢方薬局通いは今年で10年になるとか。

もともと体の状態を数値で判断されるのが好きになれず、健康診断を受けない主義なんです。でも、体調を崩すのはもちろん避けたい。すると、漢方がいちばん適切かな、と。

漢方は予防医学なので、先生が調合する生薬というのは、病気の治療というよりも体質の弱点をカバーするものなんです。私は胃腸が弱いので、胃を温める作用がある人参湯などを飲み、お昼には体を温める鶏肉を毎日食べるようにしています。

―苦労が感じられたのが好物の「甘いもの」を断たれるエピソードです。体に良くないのはわかっているけれど、やめられない。読者にも共感する人が少なくない悩みです。

甘いものに含まれる糖質ってびっくりするほど多いんですよね。食品に含まれる糖質量のリストを眺めながら考えると、きちんとご飯を食べていれば、甘いものをとるのは1週間に一度でもいいくらいなんです。

とはいえ、完全にやめるとストレスが溜まるので、「自粛しつつ食べる」というのを心がけています。いまは甘いものを口にするのは1週間に一度くらい。最初はとても苦しかったけど、少しずつ体が慣れてきました。

新生・ブルーバックス誕生!