前述のキオスク端末からは、地域の飲食店やエンターテイメント、市政に関するお知らせなど、他の情報を取り出すことも可能だ(実際に端末から最もよく確認されているのが、路面電車の運行状況に関する情報で、次に多いのが飲食店関連の情報だそうである)。

先に述べた通り、現在は一部の地域にとどまっているスマート化だが、カンザスシティはパートナー企業と対象地域の拡大を計画中だ。5Gが整備されて広範囲で多数の機器類がつながれば、より広範囲でより高度なサービスを展開できると期待されている。

カンザスシティに設置されたキオスク端末 カンザスシティプレスリリースより

こうしたインフラが一般化すれば、個人が高度な情報端末、つまりスマホやタブレットを持ち歩く意味も薄れてくる。

5Gでクラウド上のAIにつながった端末がいたるところにあれば、そこから情報を出し入れすれば良いし、複雑な処理はAI側でやってくれる。指紋や顔などで個人を認証し、一人ひとりに合わせて情報を加工・提供することも十分に可能だ。そうなれば、わざわざかさばる端末を持ち運ぶ必要はなくなる。

「いや、スマホを持ち歩かないなんて想像できない。こんなに便利なもの、手放すことなんてできないだろう」と感じられたかもしれない。しかし考えてみてほしい。

日本でスマホが急速に普及したのは、4Gが整備された2010年代に入ってからのことだ。「スマホが必要な暮らし」を始めてから、まだ10年も経っていないのである。

逆に2000年ごろの私たちに、「10年後には誰もが小さなスクリーンを持って、そこから画像や映像で情報を得るようになる」と言っても、一笑に付されていただろう。

そして冒頭のSnapChatの例のように、便利なサービスは急速に普及し、私たちの認識を短期間で変えてしまう。端末を個人ごとに持ち歩くという不便な習慣に、果たしてどれほどの人が固執するだろうか。

日本でも2020年ごろから、5Gの商用サービスが段階的に導入されると予想されている。2020年といえば東京オリンピックの年であり、5Gを基盤とした多くの先進的サービスの絶好のお披露目の機会となるだろう。

そしてそれは、単に個々のサービスや企業が自らをアピールするだけでなく、次世代の暮らしの姿を私たちに見せてくれるものになるはずだ。あらゆるモノが賢くなり、スマホを持ち歩くことすら不要になる世界――3年後には、それが当たり前のように感じられるようになっているかもしれない。