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企業・経営

「地検特捜部と全面対決も辞さない姿勢」を大成建設が見せる理由

年度内決着に向かうのか

理解できない点

首都圏を走る小田急線沿線の新百合ヶ丘駅からバスで約15分。大学や市民健康施設などが立ち並ぶ住宅地の幹線道路(尻手黒川線)沿いに、高い塀に囲まれた一角があり巨大クレーンが何本も立っている。

工事車両が出入りする時以外、中をうかがうことは出来ないが、行われているのはリニア中央新幹線のトンネル発進立杭となる非常口(直径36メートル、深さ100メートル)の建設工事である。施主のJR東海は、2015年10月2日に開始した公募競争見積方式で選定手続きを進め、16年11月7日、大林組JVに決め、契約を結んだ。

この「東百合丘非常口」の工費は明らかにされていないが、同じ大林JVが受注、リニア中央新幹線事件の引き金となった「名城非常口」の工費が約90億円とされており、その程度の金額だろう。

 

実は、この工事は大成建設優位で進んでいた。その証拠に、約1万8500平方メートルの敷地を取得していたのは大成である。同社は、12年3月、前所有者の化学メーカーからこの土地を先行取得。まだリニア中央新幹線のルート公表前の段階で、大成はリスクを取ったのだが、JR東海が選んだのは大林だった。

この思惑違いの逆転劇が、リニア談合の曖昧さの証明である。同時に、ここには、二度、三度と家宅捜索を受け、検察に散々イジメを受けながらも、談合を認めずに突っ張り続ける大成の意地が秘められている。

「特捜VS大成」の対立構図は、既に周知のものとなり、マスコミの司法担当記者はその様子を詳しく伝え、『週刊文春』は「リニア捜査が重大局面 大成建設<段ボール40箱>証拠隠し」(2月16日号)と報じた。

大成顧問のヤメ検が、特捜検事が大成の役職員らを社長室に呼び出し、「ふざけるな!」と怒鳴りつけて威圧する捜査手法を批判、<大阪地検特捜部の証拠改ざん問題があったにも関わらず、検察の体質が変わっていないことを示すもの>という「抗議書」を送付すれば、特捜部はOBをあざ笑うように、その後も家宅捜索に入り、大成が幹部寮に隠していたリニア関係資料40箱を押収した。

この種のケンカが面白くないハズがない。

ただ、理解できないのは、弱ったとはいえ公訴権と捜査権の二つを持ち、起訴しやすい方向で捜査を進めることが出来るという意味で、「最強の捜査機関」には違いない特捜部に、なぜ大成が刃向かっているのか、という点である。それを解く鍵となった「東百合丘非常口」とはどのようなものか。

リニアの研究を続け、山梨実験線で走行試験を繰り返していたJR東海は、07年4月、東京―名古屋間に25年開業(その後27年に)を目標としたリニア建設計画を公表、それを受けて国が直線ルートでの整備計画を発表したのは11年5月だった。

川崎市麻生区の麻生区民会館で、リニアに関する環境アセスメントの説明会が開かれたのは11年10月で、その際の質疑応答で示されたルートは、3キロの幅で大雑把に示したもので、「詳しいルートの公表は環境アセスなどの諸手続が進んだ約2年後を予定。立杭のための非常口は5~10キロごと、広さは1万平方メートルぐらいで設置位置は未定」と、説明された。

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