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同盟より同胞を優先?金正恩妹の「微笑外交」を喜ぶ文大統領の悲劇

金与正と文在寅「蜜月の3日間」舞台裏
近藤 大介 プロフィール
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2日目となる2月10日、与正一行は午前10時35分にホテルを出て、「青瓦台」を訪問した。午前11時から1時間20分にわたって、文在寅大統領と会談。その後、1時間半にわたって午餐を共にした。

以下は、「青瓦台」のブリーフィングの要旨を訳出したものである。

 

〈 文大統領は、乾杯の挨拶をしながら、「今日この席は、全世界の耳目を集中させていて、南北にかかる期待は大きい。肩が重いが、南北平和と共同の繁栄を願って」と述べた。

金永南最高人民会議常任委員長は述べた。

「われわれが温かく親切に歓待され、同胞の情を感じる。わずか40日あまり前にも、このような激動的で感動的な雰囲気ができるなど、誰も想像すらつかなかった。開幕式の時、北南が共に行く姿を見ながら、われわれはやはり一つの血なのだという喜びを感じた。今年が北南関係が改善する画期的な転換点になることを期待している」

文大統領の言葉。

「金剛山と開城だけに行ってみて、平壌には行けなかった。金剛山の離散家族再会の時、母を連れて、叔母に会いに行ったことがあった。開城公団にも行った。(2007年)10月4日の(盧武鉉大統領と金正日総書記の)南北首脳会談の時、盧武鉉大統領の秘書室長として、総括責任者を務めていた。白頭山観光も、合意文に入れたのに、実現できなかった。今日の対話で、平壌と白頭山に対する期待が続くと期待している」

金与正朝鮮労働党中央委員会第一副部長、金正恩国務委員長の特使の言葉。

「早い時期に、平壌でお目にかかれればよいと思う。文大統領におかれては、金正恩国務委員長様に会い、多くの問題に対して、意思の交換すれば、昨日が昔のように思われるほど早く、北南関係が発展できるというものだ。大統領におかれては、統一の扉を開ける主役となられ、後生に道を残すことを望む」

文大統領は、趙明均統一部長官、徐勲国家情報院長を紹介しながら、「金大中、盧武鉉両元大統領の時、北を何度も訪問した二人だ。私がこの二人を起用したことだけを見ても、私が南北関係を正し、活発に発展させたいという意志を感じることができるというものだ」

趙明均長官が、「金永南委員長は、1927年2月4日生まれですね」と言うと、文大統領は述べた。

「私の母が1927年生まれだ。大統領になったため、頻繁には会えなくなっている。90歳を超えても遅れてでも誕生祝いをしている。(金永南委員長に向かって)健康管理の秘訣は何ですか? どうぞいつまでも健康でいてください」

金永南委員長が、「祖国が統一する日まで、健康でいたいものだ」と言って微笑んだ。

文大統領:「私は登山とトレッキングが好きで、ヒマラヤの5900mまで登った。こうやっていらっしゃるのを見ると、心さえ整えば、言葉も文化も同じなので、容易に為すことができるようだ」

金与正特使:「こんなに近い距離なのに、来るのが大変で残念だ。ひと月と少し経ったけど、過去何年もと較べて、北南関係が早く進行しているようではないか。北南の首脳部の意志があれば、分断の年月が残念でもったいないけれども、早く進行させることができるというものだ」

文大統領が「開幕式を見てどうでしたか?」と尋ねると、金与正特使が、「すべて気に入りました。特に、われわれの単一チームが登場した時がよかったです」と答えた。

文在寅大統領:「開幕式の会場に入って握手したけれども、単一チームの合同入場の時、我を忘れて自然に、再び祝賀の握手をしましたね」

金永南委員長:「体育団(合同代表チーム)が入場してきた時は、本当に感激しました。歴史を振り返れば、文氏の家系は、愛国者を多く輩出してきた」

天安のクルミ菓子が出されると、文大統領が、「このクルミ菓子は天安地域の特産品で、地方視察に行った際に、天安駅で一つずつかったのだ」と述べた。金永南委員長が、「まことに健康食品で、朝鮮民族特有の味がする。昔も今も変わらない」。

任鍾晳大統領秘書室長:「南北間の言葉は、抑揚などが違うが、聞き取ることはできる。だが、イカとタコは、南北では正反対なんだとか」

金与正特使:「それならそこから統一しないといけないわ」(笑)

金永南委員長:「南から来た人に会ったら、祖母から咸興シッケ(注:もち米の発酵飲料)の作り方を習って、それからたくさん作って飲んだのだとか」(注:文在寅大統領の両親は北朝鮮側の咸興出身)

文大統領:「私たちもシッケをよくこしらえたが、私はいまでも毎日、シッケを飲んでいる。咸興の人は、シッケの方がキムチよりも好きなくらいだ」

金委員長:「南でも地方の特色というのがあるでしょう?」

文大統領:「その通り、郷土料理は多様だ」〉

何だかすごいことになっている。文在寅大統領は、もうすっかり「あっちの人」のようだ。「同盟は捨てることができても、同胞は捨てることができない」と教えてくれた韓国人がいたが、このブリーフィングを読んでいると、それが理解できる。

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