金融・投資・マーケット

やっぱりしばらくは不安定な株相場が続きそうな理由

リスクはこんなにある
真壁 昭夫 プロフィール

物価上昇への警戒が…

2月に入って以降、米国の金利が上昇傾向を鮮明化している。それに伴い、世界的な債券バブルが破裂しつつあるとの見方が高まっている。金利の急上昇に伴い、ダウ工業株30種平均株価を中心に米国の株式市場が急落した。

その後も、米国の株式市場は不安定だ。米国の株価急落を受けて、日本をはじめとする先進国、新興国ともに株価は下落基調にある。この背景には、米国のインフレ期待が上昇し、世界的な株価の上昇を支えた低金利環境が維持されづらくなるとの警戒感があるようだ。

 

当面、株式市場は不安定に推移する可能性があると考えたほうが良いだろう。米国を中心に世界経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)は安定しており、今すぐに景気後退が起きるとは考えづらい。しかし、株式の益利回りが低下し、債券に対する株式の投資妙味(リスクプレミアム)が低下しているため、相場は不安定に推移する可能性がある。

2月2日の米国市場を境に、世界の株式市場はそれまでの堅調な展開から一転し、軟調な展開にシフトしている。その理由として、投機筋による株式の売却が相場の下落の一因になったとの見方がある。

加えて、物価上昇への警戒感も重要だ。物価が上昇すれば、金利が上昇する。その結果、これまでの株価上昇を支えてきた低金利環境が維持しづらくなるとの懸念が増えている。

すでに米国の労働市場は、完全雇用(働く意思を持つ人がその時の賃金水準ですべて雇用されている状態)に達したと考えられる。住宅市場などでは人手不足から供給能力が低下しているようだ。その中で、トランプ減税の影響から採用を増やそうとする企業もある。今後のインフラ投資計画によっては、一段と人手不足が浮き彫りとなり、賃金に上昇圧力がかかりやすい。

1月の米雇用統計では時間当たりの平均賃金が前年同月比2.9%増加した。それは、米国の物価上昇期待を一段と強め、米国の長期金利を上昇させた。金利上昇は低金利による株式市場への資金流入にブレーキをかける。それだけでなく、株から債券への投資資金のシフトにもつながりやすい。

加えて、株式市場では過去数年間の相場上昇によって、企業価値に対する株価の水準が割高になっている。一株当たりの利益を株価で除した“益利回り”はその一つだ。

S&P500指数の益利回りは4%程度であり、国債との利回り格差は縮小している。国債に比べ相対的にリスクのある株に投資する妙味は低下しつつある中で金利が上昇したため、株を手放す投資家が増え、株価が急落した。

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