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世界を震撼させた株価下落の「真犯人」は、やはりあの人だった

市場は「リーダー」の資質を疑っている
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株安と混乱を生み出した「真犯人」は?

ニューヨーク・ダウ(30種工業株平均)が先週、週間ベースで下落率5.2%、金額にして1330ドル安と、2016年1月のチャイナショック(同6.8%、1078ドル安)以来の下げを記録、世界経済を震撼させた。

この間に、1日で1000ドルを超える下げが2度、日中の高低差が1000ドル以上という乱高下の日が4日もあった。直近の最高値(1月26日の26616.71ドル)からの下落率は一時10%を超え、「適温相場」と呼ばれたこのところの上げ相場は終わり、少なくとも数か月単位の時間を要する調整期間に入った、との見方が大勢を占めている。

 

世界的に見ても、世界同時株安の影響は計り知れない。欧州の金融危機、中国バブルの崩壊、そしてフィンテックの台頭と、金融は体力の消耗に悩まされてきたセクターだ。今回の急落によって資産内容が急速に悪化した金融機関は多く、それが市場の売り圧力を高める要因とみられている。実際に処分売りが出てくれば、残った株の下落を招く悪循環になると懸念する声もある。

マスメディアに登場する識者の多くは、依然として経済のファンダメンタルズは良く、企業業績も好調だとくり返している。が、細かく見ていけば、スマホの世界的な販売減速に伴い、電子部品などの製造業が業績の下方修正に乗り出すとの観測も浮上し始めている。変調の兆しがまったくないとは言い切れない状況になっているのだ。

これほど影響の大きなニューヨーク株安を引き起こした「悪役」は、いったい誰なのか。

先月の米雇用統計が金融引き締めの加速懸念を醸成したことが直接のきっかけと言われる。しかし、経済が巡航速度を回復してインフレ懸念が出てくれば、次に金融政策の正常化がやってくることは、誰もが早くから覚悟していたシナリオだ。それだけで、これほどの下げになったとは考えにくい。

つまり、ニューヨーク株急落を招いた真犯人として、織り込み済みのシナリオをショッキングな事態と受け取れる状況に変えた存在がいたはずである。では、その真犯人は誰なのか。それに加えて、株式市場で波乱の展開が続くのを傍観し、その混乱を収める救世主になり損なった人物がいる。本稿では、この二人の悪役について考えてみたい。

メディアや市場関係者はどう見たか

先週付の本コラム『アップルもアマゾンも過去最高益なのに「米株価急落」一体なぜ?』(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54372)では、ニューヨーク株急落の直接のきっかけを二つ挙げた。米金利の上昇ペースの加速懸念と、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンという米国のIT系プラットフォーマー(基盤提供者)4社の成長力鈍化懸念である。

論旨を拡散しないために前回は触れなかったが、米金利の上昇ペースの加速懸念が高まった直接のきっかけとされているのが、2月2日(米東部時間)発表の1月分「雇用統計」だ。民間の時給がおよそ8年半ぶりの高水準となったことから、物価の過熱やFRB(連邦準備理事会)の利上げの加速につながりかねないとの懸念が出て、下げ相場が始まったとされている。

年初からの急騰で高値警戒感があったことや、コンピューター自動取引を採用する証券会社や投資会社が増え、下げ幅が大きくなった際に一方的に売りを重ねたために、下げが加速した面もある。

この結果、「適温相場」と呼ばれた上げ相場が終焉したというのが大方の解説だ。適温相場とは、景気が回復軌道に乗る一方で金融緩和が続き、預貯金や債券から株式に資金シフトが起きやすく(相場が押し上げられ)、熱くも冷めてもいないという意味でつけられた名称だ。

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