アメリカ 北朝鮮

北の意のままに動く韓国大統領にアメリカがいま抱いている「本音」

まさかここまで言いなりになるとは…
髙橋 洋一 プロフィール
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文大統領、情けない…

彼の行程を追ってみると、いかにも象徴的だ。ペンス副大統領は、日本を訪れた際は横田基地に立ち寄り、韓国の場合は烏山空軍基地に行った。これは、トランプ大統領と同じであり、その行程は常に米軍が護衛している。そして、トランプ大統領と同じように、在日、在韓米軍の兵士を労っている。目前に迫った「半島危機」が実際に起こった場合、これに対処するのは兵士だからだ。(副)大統領として、彼らを労うのは当然だろう。

訪韓時、ペンス副大統領は文大統領に「米国は、北朝鮮が永久的に不可逆的な方法で北朝鮮核兵器だけでなく弾道ミサイル計画を放棄するその日まで、米国にできる最大限の圧迫を続ける」と伝えたという。訪韓前に日本で安倍首相と行った首脳会談でも、「近日中に北朝鮮に最も強力かつ攻撃的な制裁を加える」と明らかにしたという。

安倍首相は、平昌五輪の開会式に参加するのは乗り気でなかったようだったが、おそらくアメリカとともに文大統領に「(北朝鮮非核化の)時間猶予は平昌五輪・パラが終わるまで」と最後通牒を言うために訪韓したのだろう。

 

9日の日韓首脳会談では、安倍首相が「米韓合同軍事演習を延期すべきではない」と主張したことに対し、文大統領は内政問題だと反発したらしいが、極東アジアにとって、朝鮮半島の非核化は決して韓国のみの問題ではない。一方、アメリカのマティス米国防長官は、平昌パラリンピック(3月9~18日)後に、軍事演習を再開することを明言している。

日米が韓国に当たり前のことをいわなければならないのは、北朝鮮が文大統領に攻勢を仕掛けているからだ。北朝鮮代表団団長の金永南氏は、文大統領との会談において、米韓軍事演習などを中止し、訪朝を最優先とすることを要求したようだ。金正恩氏は、9月9日の北朝鮮建国70周年までに南北首脳会談を実現したいと伝えられている。

はっきりいえば、これは北朝鮮の時間稼ぎである。北朝鮮の核・ミサイル技術はロシア製であるので、その進展具合は技術的に読むことが可能だ。アメリカ到達する弾道弾について、実戦配備可能な技術的な時期はあと3ヵ月から6ヵ月以内というのが通説である。

gettyimages

その意味で、平昌五輪・パラリンピックで稼げる時間は、北朝鮮にとっては喉から手が出るほどほしいものだった。そこで、1月の平昌五輪参加の蒔絵を文大統領に投げたところ、まんまと食いついた。北朝鮮の思うつぼだったわけだ。

北朝鮮としてはミサイルが完成する9月まで時間を稼げばいいので、今回、金正恩氏は妹である金与正氏を派遣するという切り札を切ったのだ。

さて、アメリカはあくまで北朝鮮の非核化を要求するが、この数ヵ月で北朝鮮の非核化が実現すると考えるほど甘いものはない。もともと、1991年12月に北朝鮮の金日成氏と韓国のノ・テウ大統領との間で、朝鮮半島非核化宣言は合意済みだ。しかし、北朝鮮はそれを破って、核・ミサイル完成まで今一歩というところまで来ている。

金正恩としては、これまでの苦労を無駄にして非核化するはずないのは誰の目にも明らかだ。だから、今回の北朝鮮の訪韓の初期段階で、文大統領が非核化について口にしたら、北朝鮮は五輪に参加しないとすごんできたのだ。情けない文大統領は、その後は非核化を口に出せなくなってしまった。

朝鮮半島の非核化について、韓国は当事者能力を失ってしまった。一方、中ロはまったく頼りにならない。最終的には、米朝がどうなるかである。

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