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政治まみれの平昌五輪で、50年前の「あの事件」が頭をよぎる

「トランプ的なるもの」への抗議
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政治まみれとなった「トランプ時代」初の五輪。現在のアメリカにおける反トランプの動き、かつての五輪で起きた「ある事件」などをふまえて、ジャーナリスト・森田浩之氏が平昌五輪をめぐってささやかれていることについて考察する。

トランプと米スポーツ界の「全面戦争」

開幕したばかりの平昌オリンピックをめぐって、ささやかれていることがある。

メダルを獲得して表彰台に上がるアメリカ代表のなかに、トランプ大統領への抗議の意思を示す選手が出るのではないか──。

 

確かにそう考えても不思議はない空気が漂っている。一つは、アメリカのスポーツ界に反トランプの意思を公然と示す動きが広がっていることだ。

昨年秋には、フットボールのNFLが騒然となった。差別や社会的不公平に対する抗議の意味で、選手たちが試合前の国歌斉唱の際に起立せず、片膝をついたり互いに腕を組んだりする行為に出たのだ。

これに対してトランプは火に油を注ぐかのように、支持者の集会でこう語った。

「わが国の国旗に不敬な態度をとる奴に、NFLチームのオーナーが『あの “サノバビッチ”をすぐにグラウンドからつまみだせ。出ていけ。クビだ』と言ったら最高じゃないか」

「サノバビッチ(son of a bitch)」は男性に対して使われる侮蔑語で、メディアでは禁止用語とされる。テレビでは「ピー音」で消され、活字メディアでは「SOB」「son of a b──」などと表記される。

信じがたいことにその言葉を、大統領がNFLの選手たちを指して使ったのだ。

その後、全米各地で行われたNFLの試合では、ほぼ全チームの約200人の選手が国歌斉唱時に片膝をついたり拳を突き上げたりして抗議した。

シアトル・シーホークスとテネシー・タイタンズの両チームは、国家斉唱の間、ロッカールームに残った。さらにシーホークスの選手たちは、チームのウェブサイトで断固とした声明を発表した。

「この国の有色人種に対して蔓延する不当行為を、私たちは決して支持しない。アメリカへの愛と、アメリカのために犠牲になってきた人々に敬意を表すためにも、自由を否定する者には団結して反対する」

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こうした動きは、バスケットボールのNBA、野球のMLBへも広がりを見せた。

アメリカでは、メジャースポーツのチャンピオンチームがホワイトハウスを表敬訪問するのが恒例になっている。

だがNBAの昨シーズンの王者ゴールデンステート・ウォリアーズでは、スター選手のステファン・カリーがトランプに抗議してホワイトハウスへの表敬訪問に参加したくないと語った。

するとトランプは「カリーがためらっているので、招待を取り消す」とツイートした(ウォリアーズはその後、全員一致でホワイトハウス訪問を取りやめた)。

トランプと米スポーツ界は今、「全面戦争」とも言える状況に突入している。

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