〔PHOTO〕Icarus/Netflix
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ロシア版スノーデンが告発「プーチン大統領もドーピングを了承した」

ドキュメンタリー『イカロス』の衝撃度
ロシアの陸上選手の99%がドーピング? ロンドンオリンピックでロシアが獲得した81個のメダルのうち、50%以上もドーピングによるもの? 

この数年、ドキュメンタリー作品が明かしてきたロシアによる国家ぐるみのドーピングに関する衝撃の告発──。ライターの松谷創一郎氏が、Netflixオリジナル作品『イカロス』を取り上げる。なぜ異例かつ稀有な作品なのか。

ロシア「国家ぐるみ」のドーピング

2月9日に開幕した平昌オリンピック。しかし、開会式には、これまでのオリンピックを賑わせてきたロシア選手団の姿はなかった。

昨年12月、IOC(国際オリンピック委員会)はこの大会にロシアが参加できないことを正式に発表した。過去にドーピング違反をしていないなどの厳格な基準を満たしているロシアの選手は、中立選手(OAR:オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)として個人で参加している。

2016年のリオデジャネイロ夏季オリンピックでは、陸上からは完全に締め出されたものの、多くの選手が条件付きで参加を認められた。それに対し、今回の平昌でIOCはよりいっそう厳しい姿勢を見せたと言える。

IOCがここまで断固たる態度を見せたのは、ロシア選手のドーピングが国家ぐるみで行われていたからだ。それが発覚したのは、2014年12月9日のことだった。

 

スクープしたのは、ドイツの公共放送・ARDだ。

『ドーピングの秘密 ロシアはいかにして勝者を作り出したのか』と題されたドキュメンタリー(日本では、2016年にNHK-BSで『ドーピング~ロシア陸上チーム・暴かれた実態~』というタイトルで数回放送されている)において、ロシアの女子陸上選手・ユリア・ステパノワと、その夫であるロシアの反ドーピング機関(RUSADA)のビタリー・ステパノワが告発したのである。

そこでは、ロシアの陸上選手の99%がドーピングを行っているとされ、その手口も詳細に説明された。リオデジャネイロ・オリンピックからロシアの陸上選手が完全に締め出されたのは、このドキュメンタリーがあったからだ。

監督自らドーピングをして…

こうしたロシアのドーピング問題が発覚する前から、その中心人物と接触していたもうひとつのドキュメンタリー作品がある。

それが、昨年夏にNetflixで公開され、2017年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされている『イカロス』だ。この作品は、ドーピング騒動が巻き起こる半年前の2014年6月から撮影が開始されている。

当初の目的は、アマチュア自転車レーサーでもある監督のブライアン・フォーゲルが、自らドーピングをして検査体制をいかにくぐり抜けることができるかを試すことだった。

フォーゲル監督がドーピングに興味を持った背景には、ランス・アームストロングの存在があった。1999年から2005年まで、ツール・ド・フランスで7連覇を達成したアームストロングは、自転車レースではだれも知る英雄だった。

しかし、2012年にドーピングが発覚し、彼は過去のタイトルをすべて剥奪され、永久追放される。