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韓国で発売「安倍首相暗殺」を予言するトンデモ反日小説の中身

平昌五輪の前にもう一度考えておきたい

反日感情高ぶる中での訪韓、本当に大丈夫か

安重根はためらいなく引き金を引いた。バン!バン!バン!天地を引き裂くような銃声とともに安培(原文ママ)首相は下腹を抱えたままプラットフォームに昏倒した。

蒼白になった警護員らは、倒れた安培の上に身を投げて、後に続く射撃に備えた肉弾警護を行ったが、すでに安重根は引き金から指をはずして、両手を振り上げ、万歳三唱を行っていた。「大韓民国万歳! 東洋平和万歳! 世界平和万歳!」

これは韓国で2014年8月に出版された『安重根、アベを撃つ』という小説の一部である。その内容は、1909年10月、ハルピン駅で伊藤博文を射殺した韓国人・安重根が突如現代に現れ、「安培首相」を射殺する、という突拍子もない内容。

『安重根、アベを撃つ』カバー

この小説が出版された当時には、日本でもその内容が簡単に報じられ、幼稚で荒唐無稽なトンデモ反日小説が出版されたと話題になった。

しかし、その報道は週刊誌やスポーツ新聞、ネットメディアに限られ、作品の紹介も断片的なものだった。それから4年近い歳月が流れ、現在では、そうした小説が出版されたことすら忘れかけられている。

さて、安倍首相は2月9日、平昌冬季オリンピックの開幕式に参加するために韓国を訪問する。文在寅政権発足後、日本首相の初めての訪韓である。

この機会をとらえて、安倍首相は文在寅大統領と会談し、慰安婦問題をめぐる「日韓合意の厳守」を確認するとともに、北朝鮮の軍事的脅威に対する「日米韓の連携強化」を強く申し入れるという。

一部ではこの会談が「日韓関係の追い風になる」「日韓関係改善の糸口になる」などといったお気楽な予測もなされている。

ところが、事はそう簡単ではない。そもそも、安倍首相に対する韓国人の感情を少しでも理解しているなら、そうした能天気な予測などできるはずもないのである。訪韓中の安倍首相の身辺安全はもちろん、今後の日韓関係も楽観は許せないのである。

冒頭で紹介した『安重根、アベを撃つ』は、韓国人の対日感情(「対安倍感情」を含む)を理解するのに絶好のテキストである。ここでは、改めてこの小説の内容を紹介し、予断を許さない日韓関係を考察してみたい。

韓国人の偏向した国際感覚

『安重根、アベを撃つ』は全編350ページに及ぶ超大作である。

内容は3部に分かれ、第1部(13ページ)と第3部(42ページ)はフィクションである。中間の第2部(約300ページ)は何かといえば、単なる安重根の偉人伝(ノンフィクション)。

要するに、本の大半は、一般に広く知られている安重根の一代記を書き連ねたにすぎない。作家の才覚が発揮された創作部分は全体の2割にもならない。この「作家の才覚が発揮された部分」にとんでもない内容が凝縮されている。

 

第1部では、安培首相(意図的に漢字表記が変えてある)が中国の高速列車「和諧731号」に乗って、北京からハルビンに向かう。なぜ「731号」なのかといえば、これは細菌兵器で有名な関東軍731部隊から由来している。韓国では安倍首相が731部隊を始めとする日本軍の蛮行を認めようとしていないと信じられている。

2013年5月、安倍首相は宮城県松島の航空自衛隊基地を訪問したのだが、その際、撮影用に操縦席に座った練習機の機体番号が731だった。

単なる機体の番号に過ぎなかったのだが、当時、韓国のマスコミは、この「731」が「731部隊」を意味するものと勝手に決めつけ、安倍首相の歴史認識を猛列に非難していた。ちなみに、安倍首相が「731部隊」の存在について、否定するような発言を行ったことは一度もない。

要するに、意味のない事象をもとに、勝手に安倍首相のイメージを作り上げ、それに非難を加えているのである。韓国では「自分の勝手な思い込みで怒ったり喜んだりすること」を「脳内妄想」というのだが、韓国のマスコミの非難はまさしく「脳内妄想」の典型である。

新生・ブルーバックス誕生!