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ダボス会議で世界をがっかりさせた黒田日銀総の「意味不明発言」

正直、何を言いたいのか分からなくて…

質問にすら答えていない

1月23日からダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)が開催され、トランプ大統領など各国の首脳や財界人が一堂に会した。

会議での話題はTPP(環太平洋連携協定)から仮想通貨まで多岐にわたったが、ダボス会議では要人のひと言がマーケットを大きく揺さぶる。そのなかで注目すべきは、トランプ大統領と日本銀行の黒田東彦総裁の発言だった。

今回初参加となったトランプ大統領は「米国第一とは『孤立した米国』ではない」と言い、これまでの排外主義的発言とは打って変わって、国際的なルールに積極的に関与するとの考え方を強調した。

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また、おそらくこれは中国を念頭に置いた発言だが、「いくつかの国は他国を犠牲にしてシステムを食い物にしている」と、他国による知的財産侵害などの「略奪的な行動」を牽制してみせた。

'17年のダボス会議には中国の習近平国家主席が初参加し、保護主義に反対する姿勢を示した。その保護主義の急先鋒であるトランプ大統領が今回の会議ではTPPへの復帰まで示唆したのは、中国への対抗軸を意識してのこと。ダボス会議へのアメリカの現職大統領の参加はクリントン大統領の'00年以来18年ぶりだったが、同国は国際会議における存在感をアピールしたことになる。

一方、日本からは例年多くの有名政治家が出席するが、今年は黒田総裁が参加した。だが、黒田総裁の発言は精彩を欠いていた。

1月26日に行われた会合では、黒田日銀総裁、カーニー・イングランド銀行総裁、ラガルド・IMF(国際通貨基金)専務理事、ラム香港特別行政区行政長官、ウルフFT(フィナンシャル・タイムズ)紙記者らが参加したのだが、ここでの黒田総裁の発言がひどいものだった。

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ダボス会議の真骨頂は、フロアーからの質問にどう答えるかだ。ウルフ氏が進行役で参加者に質問していたが、会合の終わりに、ある人が「インフレ目標2%はいいことなのか」という質問をした。ウルフ氏はまずラガルド氏に質問を回すと、「インフレ目標2%は国によって異なることもある」と無難に答えた。

次に黒田総裁だ。ウルフ氏は、日本はデフレが長かったので2%では低く、4%目標ではどうかと黒田氏に質問した。

 

氏は、「インフレ目標の物価統計には上方バイアスがあるので、若干のプラスが必要なこと、ある程度プラスでないと政策の対応余地が少なくなること、先進国間の為替の変動を防ぐことなどの理由で、先進国で2%インフレ目標が確立されてきた」と答えた。

正直、何が言いたかったのかわからず、ウルフ氏の質問にも答えていない。日本での総裁記者会見ではこの程度でいいのかもしれないが、世界では通用しない。

インフレ目標は、失業率の下限となるNAIRU(インフレを加速させない失業率)を達成するための最低のインフレ率である。日本のNAIRUは2・5%程度で、そのためのインフレ目標は2%だ。もし2%より高いと、失業率が下がらず高すぎるインフレ率になる、と答えればまだ妥当だった。

黒田総裁のこうした発言によって、最近の円高が誘発され株価が伸び悩んでいるとの意見もある。リーダーの発言は経済に大きく影響するのだ。

『週刊現代』2018年2月17・23日号より

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