企業・経営 週刊現代

給料もそこそこだけど、残業もそこそこで「普通に幸せな会社」50

子供や孫に教えてあげたい
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同じ会社で定年まで働ける保障が薄まっているなか、終身雇用を約束する会社は魅力的だ。

化学メーカー「信越化学工業」は生活用品から産業用資材まで使用されている塩化ビニル樹脂のシェアでは世界トップ。同社も高収益企業である。

「こちらも終身雇用を宣言し、平均勤続年数が20年を超えています。しかも働き方改革にも力を入れていて、残業は月平均15時間ほどで有給消化率も高い」(田中氏)

精密機器メーカー「島津製作所」を挙げるのは、法政大学大学院教授の真壁昭夫氏だ。

「環境測定機器、医療用機器など、同社の製品は需要の伸びが世界的に期待され、会社の業績も安定して推移すると思われます。企業ブランドの観点からも、子供や孫に入ってほしいと思う人は多いでしょう」

同社は昨春から月曜日、水曜日、金曜日を「ノー残業デー」とする制度を開始。月曜はスキルアップ、水曜は健康増進、金曜は社内外の交流を社員に促しているという。
「キヤノン」も複数の識者が太鼓判を押した。

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その一人、経営評論家で岡山商科大学教授の長田貴仁氏が言う。

「キヤノンは元々、産婦人科医だった創業者の御手洗毅氏のカメラの趣味が高じて作られた会社です。そのため、以前から社員の健康管理に対する高い意識がありました。

東京・下丸子の本社内にある診療所はレベルが非常に高く、ここで見つからない病気はないと言われるほど。土曜出勤が主流だった時代に、完全週休2日を導入した最初の会社とも言われています。

ここまでの一流企業に成長したのも、やはり、社員を大切にする会社だからと言えるでしょう」

長田氏は、「社内結婚」をキーワードとして挙げて、「日本食研」を推す。

「『晩餐館焼肉のたれ』のCMでおなじみですが、この会社は社内結婚を推進しています。社内に『縁結箱』という箱が設置され、気になる社員がいれば願いを書いて入れておく。すると社長が箱を開けて縁を取り持ってくれるのです。

これは夫婦がともに会社を理解していることが社業にプラスになるという考えです。会社への愛着がいっそう深まり、また会社の居心地も良くなり、安定成長に寄与するというわけです」

同社ではすでに500組以上の社内結婚カップルが誕生している。しかも、そのうち離婚した夫婦はごくわずか。夫婦一緒に転勤が可能で、仕事のために家族がバラバラになる心配もないという。

アットホームな社風は今の日本において貴重。幸せな家庭を手にいれる近道かもしれない。

 

経済・金融アナリストの津田栄氏が語る。

「どういう仕事であれ、自分がやりたくない仕事を過度に押し付けられたり、上司とのソリが合わないのに我慢し続けなければならないというような組織であったりしたら、幸せは感じられないでしょう。

私が知る企業のなかで、いい会社だと感じたのは、『ファナック』『花王』『味の素』『アサヒビール』です」

ファナックは産業用ロボットメーカーで富士山の麓、山梨県忍野村に本社を置く。51万坪の本社敷地内には社員寮・社宅が完備され、コンビニ、野球場、サッカー場、体育館、テニスコート、温泉施設まである。市街地までも車で20分ほど。

満員電車には乗りたくない、休日にはアウトドアを満喫したい、大自然のなかで子育てしたいという希望があるなら、最適だ。

「花王の社員は仕事の話をしているとき、いきいきとしています。その様子を見るだけで、良い会社であることを実感しますね。味の素とアサヒビールは、平均勤続年数10年以上、平均残業時間月25時間以下、有給休暇取得実績年間10日以上、3年後の離職率10%以下の優良企業です。

私だったら海外でも仕事をしたいので、海外展開に積極的な味の素とアサヒビールで働いてみたいと思いますね。どちらも社員の平均年収は800万円以上です。しかもアサヒビールは年間の有給休暇取得実績が11.5日もあります」(津田氏)

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