インスタでも人気の伏見稲荷大社〔PHOTO〕gettyimages
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本当に「地方活性化の鍵」なのか?「インスタ映え」のダークサイド

目的と手段の逆転が起きると…
「インスタ映え」は地方を救うのか? 2017年12月、安倍晋三首相が講演中に発した「地方活性化の鍵はSNSにあります」という言葉が話題になった。この方向性は観光地や文化財にどう影響を与えるのか。宗教学・観光社会学を専門とする北海道大学准教授・岡本亮輔氏が考察する。

インスタ映えやSNSが地方活性化の有効策

お寺でミュージカル、竪穴式住居でお茶会、遺跡のパワースポットでヨガ……何事かと思うかもしれないが、昨年12月、安倍晋三首相の講演で出た言葉だ。文脈を確認しておこう。

……天然記念物や、遺跡、神社といった文化財は、これまで後世に保存していくことが使命だった。もっと身近にその魅力を感じてもらう。文化財保護法の改正案を次期通常国会に提出し、文化財を観光やまちづくりに活用できるようにします。

お寺でミュージカル、竪穴式住居でお茶会、遺跡のパワースポットでヨガ。アイデア次第で地域の文化や歴史が世界から観光客を集めるキラーコンテンツに生まれ変わります。

地域に眠っていた資源を観光客誘致のためのコンテンツに変える。観光が地方活性化策として期待されていることがよくわかる。このために文化財保護法を改正するというのだからまさに国策といってよいだろう。

 

お寺でミュージカル、竪穴式住居でお茶会、遺跡のパワースポットでヨガという想像するだに残念なアイディアはさておき、地域の文化や歴史が観光活用される例は枚挙にいとまがない。

だが、活用される過程には十分注意する必要がある。活用するために、本来の意味や価値が損なわれた事例が無数に存在するからだ。

この発言に先立って、首相は、インスタ映えやSNSを利用した地方活性化を強く推奨している。

地方活性化の鍵はSNSにあります。私の地元の元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)がCNNに紹介されてから、どっと外国人観光客が増えたのでありますが、そこからSNS映えするということで近くの青海島(おおみじま)も撮影のスポットとなっているそうであります。
(中略)
CNNで紹介され、たくさんの人がInstagramで撮って紹介し、今、人口2万人の町に40~50万人が1年間に訪れるという場所に一変したわけでありますから、どんな地方にもそういう宝は眠っていますから、それを世界に発信することでその地域が、がんと変わっていくんだろうと、私は期待しています。
 

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長門市の元乃隅稲成神社については、本欄でも詳しく言及したことがある(参照「なぜテレビに登場する訪日外国人は、欧米人ばかりなのか?」)。

かつては地元の人しか知らなかった同社が知られるようになったのは、2015年、CNNがウェブサイトで「日本のもっとも美しい場所31」を発表したのがきっかけだ。

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