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『池の水ぜんぶ抜く』プロデューサーが語る番組づくりの極意

「失敗上等です」
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最近、地上波放送vs.ネット動画という議論がよくされますが、個人的にはネット動画に、地上波の視聴者を取られている認識はまったくありません。

今後はスマホやネットで見られてきた動画が、テレビ画面でも見られるようになっていくことが考えられます。つまり、地上波の番組もネット番組も、横並びで表示されるようになる。

結局は、どちらのコンテンツが面白いかだけの話。そこで、地上波vs.ネットの議論は意味をなしません。

「AbemaTV」(サイバーエージェントとテレビ朝日が手がけるネットTV)より面白い番組を作れば、視聴者は地上波を見てくれる。

いまは追尾型のドローンがあるのですが、それからひたすら逃げる番組なんて面白そうじゃないですか。欧米ではすでにスマホで番組を撮影したりもしています。

Photo by iStock

今も昔も、そしてこれからも、テレビに求められるものは、やはりコンテンツの面白さなんです。じゃあどうやって面白い番組を作るか。

そのためには、いまのテレビマンが面白いと思うことを、一回ぜんぶ無視してみる。そうやって、ありえなかったものを「あり」にしていく。そうしないと、もう一度テレビが注目されるような時代はこないと思うんですよ。

あと面白いものを作るため、あえて僕は制作チームに、優秀だけど自分とは合わないスタッフを入れるようにしています。そのほうが「面白くない」とはっきりと指摘してくれますから。

テレビ業界で「忖度」なんて禁止ですよ。言うべきことを言わないと、いい番組なんてできるわけがない。

 

じつは僕、あんまりテレビを見ないんです。もちろん仕事では見ますけど、特に参考にしている番組もありません。この適度な距離感こそが、もしかして良いのかもしれません。

テレビの人って、クリエイター意識が強い傾向がありますが、どうも違和感があるんです。「どうだ、面白いだろ」と言われても、それがこれからもずっと面白いとは限りません。

『池の水』だって最初から、世のため人のため、地球環境のためを目的にしていたら、ここまでになっていなかったと思います。「ただ池の水を抜くだけで番組が成立するのか」という「不安」が視聴者の関心を引きつけたのでしょう。

誰もわからないことを、ありのままに伝える。素直さと勇気がこれからのテレビに求められていると思うんです。

伊藤隆行(いとう・たかゆき)
72年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、'95年にテレビ東京入社。バラエティ番組のプロデューサーとして『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』(日曜夜7:54~不定期放送)や『モヤモヤさまぁ~ず2』などを手がける
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