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「会計は原点に戻れ」辛口監査学者が最終講義で訴えた大事なこと

会計不信を払拭するために

企業監査への異なるスタンス

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科の八田進二教授が定年を迎え、1月27日に最終講義を行った。

青山学院大の大教室には300人ほどの聴衆が詰め掛けたが、中には日本証券取引所のCEO(最高経営責任者)を務めた斉藤惇氏(現・KKR会長)や、国際会計士連盟の会長を務めた藤沼亜起氏、住友商事元副社長の島崎憲明氏など、会計監査や資本市場関連の「重鎮」が聞き入った。金融庁の現役幹部も聴講するなど、八田教授の交遊範囲の広さを物語った。

八田教授の専門は監査。伝統的な監査論にとどまらず、会計士の職業倫理やコーポレートガバナンス、企業の内部統制へと広がり、企業不祥事が起きるたびに会計監査のあり方などを強く批判してきた。会計監査分野での「うるさ型」として知られる。

最終講義の前半では、八田教授に影響を与えた多くの人との「出会い」を振り返り、そうした人たちとの共同の著作などに触れた。

修士過程の指導教諭として日下部興市・早稲田大学教授と出会い、「監査論の虜になった」ことや、早逝した日下部教授の葬儀で、鳥羽至英氏(現・早大名誉教授)と出会ったこと、その後、藤田幸男教授(現・同)の門下で学んだことなどを語った。

また、企業会計審議会の会長を務めた飯野利夫氏(一橋大学名誉教授)や、日本公認会計士協会の会長などを歴任した川北博氏らと若い時に巡り会い薫陶を受けたことなど、八田氏の幅広い人脈の一端が語られた。

 

一方で、博士過程では指導教授と監査に関する考え方が根本的に違うことを痛感したことなどを赤裸々に話した。

「専門職業家としての公認会計士の倫理を研究していたところ、教授から、倫理なんていうのはエチケット。エチケットが学問の対象になるのかと面罵されたわけです」

事後的に決算書をチェックする「監査の批判的機能」にのみ注目し、監査を通じて経営者に改革を促す「監査の指導的機能」を認めなかった教授と相入れることはなかったという。

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