週刊現代

『北の国から』倉本聰さんがベストセラー『未来の年表』を読んだら

こりゃあおったまげた!
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職人は大事だよ

倉本 河合さんは、少子高齢化の現実にどう対峙したらいいと考えていますか。

河合 私は「戦略的に縮んでいく」しかないと思っています。無理して現在の規模を維持するのではなく、賢く縮んでいく。縮むというと、敗北とか衰退をイメージする人が多いのですが、決してそうではありません。

倉本 僕もそう思います。経済中心の社会には無理がくる。僕は昔から、日本は小さな国を目指すべきだと言ってきました。大国になりたいという願望は捨てたほうがいい。

GDPが世界で何位だとか、そんなことに一喜一憂していないで、小国であっても外国から尊敬されるような、そんな国であってほしいんです。

河合 欧州をまわっていると、ふと気付くことがあります。小さな国の小さな村が、どこか明るいんです。

日本の地方をまわるとうらさびた空気に直面してしまうのですが、欧州の村は違いました。寒村のような雰囲気はなく、高齢者もそうでない人も気ままに人生を謳歌している。

倉本 それはどうしてなのでしょう。

 

河合 私なりに調べてみました。欧州の中でも、日本にとって参考になる国はどこだろうと考えてみるとスイスやイタリアなんです。

なぜスイスやイタリアなのかといったら、「ものづくり」にこだわっているからです。衣服や靴、時計などを作る職人がたくさんいる。

彼らが何よりも大切にしているのは技術です。地域の、特定の人たちしか持っていない絶対的な技術。500人の村には500人が豊かに暮らしていけるだけの技術力がある。

違う言い方をすれば、彼らは自分たちの能力以上のものは作らない。大量販売するために資本投下して設備投資をし、規模を拡大していくなどということは考えていません。

倉本 スイスやイタリアのやり方はとても参考になると思う。日本はむしろ、ものづくりの文化を殺してしまっているでしょう。

伝統工芸品である輪島塗にしたって、その伝統を維持していくために、まずは木を育てる人間が必要だし、材木として切る人間、削る人間といった人たちが必要です。

それなのに日本の林業は若い世代にとって魅力的な仕事ではなくなっているでしょう。末端の職人がリストラされてしまっているから結果的に伝統が維持できず、担い手たちが育たない。

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河合 戦後の日本は大量生産、大量販売のビジネスモデルを追求してきました。この形が高度経済成長期には有効だったからです。

一方で、これに当てはまらない職人技はコストが高いという理由で切り捨てられてきました。そのことが日本のものづくり文化をどれほど変質させてしまったか。

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