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トランプ、ついに事情聴取へ…追い込まれた大統領の「思考回路」

捜査チームがぶつける「切り札」とは

「自分はヒラリーとは違う」

ドナルド・トランプ米大統領は1月24日、「ロバート・モラー特別検察官の事情聴取に喜んで応じる」とホワイトハウスの記者団に語りました。しかも、自ら「宣誓もする」というのです。前回記事で詳しく述べたトランプ政権の暴露本『炎と激怒』の刊行を受けて、いよいよ「ロシアゲート」疑惑は本丸へ迫ろうとしています。

トランプ大統領の「宣誓する」という言葉は、ヒラリー・クリントン元国務長官を意識したものでしょう。

米連邦捜査局(FBI)は2016年の米大統領選挙の最中、いわゆる「私用メール問題」に関してクリントン元国務長官に事情聴取を行いました。その際、クリントン氏は宣誓をしませんでした。

米国における「宣誓」とは、本来「神に対して誓い、真実を語ること」です。したがって、トランプ大統領を支持する保守強硬派やキリスト教右派にとって、宣誓は非常に重い意味があります。彼らからすれば、クリントン氏の供述は、「神への誓い」が不在の単なる「証言」にすぎないのです。

大統領就任宣誓(Photo by gettyimages)

トランプ大統領は、大統領選挙後もこの問題を繰り返し取りあげて、同長官を「不正直なヒラリー」と呼んで非難してきたので、「自分は潔白である」という自信を示すために宣誓に言及したのかもしれません。

モラー特別検察官のトランプ大統領に対する事情聴取の日程は決定していないものの、大統領は「2、3週間のうちに行われる」という見方を示しました。

事情聴取の「想定問答集」

ロシア疑惑の焦点は、大きくふたつあります。それは「司法妨害」と「共謀」です。つまり、

○トランプ大統領は、ロシア疑惑の捜査妨害をしたのか?

○2016年の米大統領選挙で、トランプ陣営とロシア政府は共謀したのか?

に捜査の重点が置かれています。では、モラー特別検察官はトランプ大統領に対する事情聴取で、どのような質問を投げかけてくるのでしょうか。できる限り具体的に予想してみましょう。

 

まず、「司法妨害」に関するモラー特別検察官の質問としては、

「大統領、あなたはなぜコミーFBI長官を解任したのですか?」

「あなたは、フリン大統領補佐官に対する捜査をこれ以上行わないように、コミー長官に要求しましたか? 仮にそうであれば、なぜ要求する必要があったのですか?」

「なぜセッションズ司法長官に圧力をかけて、彼を辞任させようとしたのですか?」

「セッションズ司法長官から、レイFBI長官に圧力をかけさせて、マケイブFBI副長官を解任するように指示を出しましたか?」

といったものが予想されます。

また、トランプ陣営とロシア政府との「共謀」に関する質問は、

「大統領、あなたは(2016年6月9日、ニューヨークにある)トランプタワーで長男のジュニア氏らがロシア側と面会した後、26階の執務室でロシア人女性弁護士と会いましたか? またそのあと、ジュニア氏から面会の報告を受けましたか? ロシア側との面会について、何を知っていますか?」

「なぜあなたは、ロシア側との面会に関してジュニア氏が声明を出した際、その文面について念入りに指示をしたのですか?」

「あなたは、フリン大統領補佐官とロシア駐米大使との面会を指示しましたか? また面会の後に、フリン氏から報告を受けましたか? 面会の内容について、知っていることを教えてください」

「フリン氏がFBIに虚偽の供述をしたことを知っていましたか?」

以上のようなポイントが必須でしょう。

さらに、モラー特別検察官のチームの「切り札」とも言えるのが、この質問です。

「大統領、あなたは昨年の夏にモラー特別検察官を解任しようとしましたが、顧問弁護士に反対されて断念したというのは事実ですか?」

現在、米国ではニューヨーク・タイムズが報じたこの「モラー解任問題」が大きな議論となっており、共和党のリンゼイ・グラム上院議員は「もし(今後)モラー 氏を解任すれば、トランプ大統領は終わりだ」とまで発言しています。もっとも、トランプ大統領はこれも「フェイクニュースだ」と断じていますが。

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