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中国に出現した「未来都市」深センで見た驚くべき光景

無限の欲望が集まる街で
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創業者たちの厳しい競争

だが、商品が華強北の表通りにきらびやかに並ぶまでに、裏では多くの「格闘」があった。

華強北にあるビルの中の、投資会社が借り受けた一室。そこには、だだっ広い机が広がっていて、若者たちがパソコンに向かって、熱心に仕事していた。

彼らは同僚ではなく、全員が「創業者」だった。各創業者には、ひと月1000元で、パソコンが置ける狭いスペースと、椅子だけが与えられる。

創業者たちは3ヵ月以内に、自社の商品を営業し、契約を取って来なければならない。3ヵ月経っても華強北で認められなければ、即退場である。

もし周囲の反応がよければ、一つ上の階に「格上げ」され、やや広いスペースが与えられる。かつ投資会社から資金も与えられる。最初の資金供与は10万ドルで、その企業の株式の5~6%を受け取るというのが相場だ。

 

台湾から来たという若い創業者が、自社製品を見せてくれた。石膏を使って、親指大の小さな肖像をフルカラーで作れる3Dプリンターを開発したのだという。

「深圳に来て1ヵ月余りで、約100台売れました。タイの工場で生産していますが、おかげで注文が相次ぎ、生産が間に合わない状況です」

彼はまもなく、さらに上の階に用意された「個室」に移るという。かつ投資会社は、多額の資金提供を申し出た。

深圳のサクセス・ストーリーを夢見てやってくる人々は2種類に分かれる。何らかの先端技術やユニークなアイデアを持っている創業者と、それを商業化して売り出す投資家だ。どちらも厳しい「目利き」が要求される究極の資本主義の世界だ。