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金融・投資・マーケット

580億円流出事件がきっかけに…仮想通貨「世界同時規制」の深刻度

ドイツとフランスが動き出して…
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日本の仮想通貨規制は今後どうなるのか

「ビットコイン」価格の昨年末からの急落に加えて、先週26日には580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」の外部流出事件が発生――。新しい決済手段として、従来の法定通貨にはなかった利便性から注目を集める一方で、取引につきまとう仮想通貨のリスクの大きさが、あらためて浮き彫りになった。

海外に目を転じると、今年3月に予定されているG20(20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)で、フランスとドイツが仮想通貨の規制強化を共同提案する構えが見られ、国際的な議論が始まりそうな状況だ。実現すれば、日本でも仮想通貨取引をめぐる制度が大きく変わるだろう。

利用者保護やテロ資金作りに悪用されないための規制は不可欠で、世界の金融当局の対応は遅きに失した感がある。

しかし、その一方で、自由な経済活動は保障されるべきだし、依然として規制の網がかかることを嫌う取引業者や投資家が多いのもまた事実だ。いざ規制となれば、一段とボラティリティ(価格の変動性)が高まって、価格が乱高下する可能性も否定できない。

急膨張してきた仮想通貨市場で何が起きているのか、政策当局がどう介入してくるのか、ポイントを整理してみたい。

 

カネ余りの時代にありがちな儲け話

歴史はくり返す。

経済にカネ余りや過熱の兆候が出てくるたびにくり返されてきたのが、「濡れ手に粟」の儲け話と、それに翻弄された人々の悲・喜劇だ。筆者が新聞記者として経済ジャーナリスト人生を歩み始めた1984年ごろ、つまり本格的なバブル経済のスタートとなったあの時期も、巷には、そうした熱に浮かされたような話があふれていた。

いまよりもひどかったのは、金地金(いわゆる「金の延べ棒」)の取引を装ったペーパー商法の豊田商法事件、必ず儲かる株式を教えると謳った投資ジャーナル事件、住宅ローン債権などの裏づけがあるという触れ込みの抵当証券事件など、事業者を装う関係者に悪意があり、刑事事件化が相次いだことだろう。

最初の二つの事件は、1986年に投資顧問業法が制定される端緒になった。同法は、投資家(顧客)の資金を預かって有価証券で運用する事業者を対象とし、一定の審査などが必要な登録制度のもとで規制して、投資家が詐欺や詐欺まがい商法の被害者になることを防ごうとするものだ。のちに関係法規が改正され、現在は金融商品取引法に統合されている。

今回あらためて浮き彫りになったのは、二つのリスクである。

第一は、価格のボラティリティの大きさだ。仮想通貨の一種、ビットコインが象徴的な動きをくり広げた。昨年初頭から1年間で約20倍に急騰し、12月18日に1ビットコイン(BTC)=1万9000ドル超(約230万円)の高値をつけたあと、1月17日には1万ドルの大台を割り込み半値以下になったのだ。

第二は、仮想通貨の売買ができる取引所の管理体制だ。大手のコインチェック(東京・渋谷、資本金9200万円)が1月26日に発表した、利用者から預かっている仮想通貨NEMの外部流出問題は、投資家のみならず世間に大きな衝撃を与えた。

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