WEBサイトの広告は各種データが計測できるのに、リアル店舗では難しい。そんな状況を変えようと「データが見えるショーウィンドウ」のシステムを開発・運用している会社がある。株式会社クレストの永井俊輔氏が、リアル店舗での広告の効果測定について、その課題も含めて語る。

看板業界に入って抱いた疑問

日々目まぐるしく世界が変化する昨今、2、3年先の未来を予測することさえも難しい時代を迎えている。

新しい技術が生まれ、その技術によってこれまでの常識が覆され、その技術によって取得される情報が増えて有り余る中、「答えのない課題」に向き合うことが、新たなスタンダードの創出につながるのであろう。すべての課題はまず「疑問に思う」ことで始まるのだ。

私もまた世の中に対して、あることを疑問に思い、課題を解決しようとしている1人である。

私は2009年から父親の経営する「看板やショーウインドウディスプレイの設計と施工」を行うクレストという会社に入社、営業や現場でのオペレーションに従事し、「なぜWEBサイトの広告はインプレッションやコンバージョンが計測されているのに、リアルの広告は計測がされていないのだろうか」という疑問を抱いていた。

2014年頃から防犯カメラの技術が発達してきたニュースや、カメラ付き自動販売機の開発ニュースなどを見かけるたびに「これらの技術を応用すれば、必ず私の疑問が解決できる世の中が来る」とも思っていた。

そんな矢先、旧友が画像解析のベンチャー企業を立ち上げると聞いて、その「画像解析」という言葉に飛びついたことが記憶に新しい。

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リアルの広告をトラッキング(記録)する。リアル店舗を例に挙げると、具体的には、広告側にカメラを入れて広告の前の交通量を動画から自動的にカウントするという方法と、そのカメラに写り込んだ顔を検知して広告を「何歳くらいのどの性別の人が何秒見たか」を計測する方法がある。

技術としてはこの2つのみであるが、この技術と設置位置の組み合わせによって、様々な広告の効果測定が可能になるということである。

すべての広告物は効果測定が成されるべきであり、例えば10年後くらいの未来を想像すると、デジタルだけでなくすべての広告物の効果測定が成されていない未来が逆に想像しにくいだろう。

むしろ無駄な広告を無駄な広告だと認識させることが、より視覚的に美しい世界を作ることにも繋がる。

リアル店舗のデータ分析という新たな課題

私たちのリアル店舗解析ツールである「ESASY」は、店舗前の交通量を計測したり、ショーウインドウディスプレイに関心を持った顧客の年齢や性別、その時間などを集積できる。いわば「データが見えるショーウィンドウ」だ。

製品ライフサイクル理論で言うと、まだイノベーターへの導入期である。実際、感度の高いイノベーターたちが興味を持ち、インバウンドで多くのお問い合わせをいただくことが増えてきた。

例えばショーウインドウディスプレイの設置してある店舗の前を何人通って、何人がそれを見て、何人が入店して、どれくらい店内を回遊して、何がどれだけ売れたのか。そのようなデータをとって経営に活かしてみたいと思う方々が、コンタクトをしてくる。

しかしながら、このリアル店舗のデータを分析するという領域においては、世の中のどこにも適切な指南書や、コンサルタント(私たちがこのコンサルの先駆者になりたいわけでもあるが)が存在すると言い難い。あるべき姿はどこにあるのか。

私たちの製品リリースによって、これまで計測されることのなかったデータがとられ、そしてこのデータ自身が、新たな解決しなければならない課題として挙げられることとなった。私たちはこの製品を通じて世の中に問題提起をしたという自覚を持っている。